ペンケースほか、革製品

 革製のペンケースが一杯ある。先日買ったワイルドスワンズの一本刺しを妻に自己申告したら、「はい、ここに幾つあるかな?」と、ペンケースを仕舞ってある引き出しの処に連れて行かれた。想定された行動ではある。フルハルターの森山さんの台詞「幾つあったっていいじゃないか」と面と向かって言えるほど大胆ではない。
 写真に写っているものでも全てではない。革製以外のものもある。ペンケースに限らないが、しかし素材はしっかりとしていて経年変化を楽しめ、使い込むほどに我が手に馴染み、ペンケースなら刺しているペンに馴染む、というところでやはり革製品は魅力的だ。そして、国内外に大変魅力的な皮革職人がおられ、様々な表情の作品を作られているのだから誘惑される訳だ。
 愛用している中では、やはりル・ボナーさんのものとワイルドスワンズさんのものが多い。ともに大変シッカリとした造りで、しかも色気がある。今回購入したワイルドスワンズ製ペンケースも堅牢であり、グリージオと呼ばれる色合いがこのままでも綺麗だがこれがどのように熟成して変化して行くかもとても楽しみなのだ。同様に、ハンス・オースター氏の、TAKUYA氏のものの魅力でもある。
今挙げた名、全て一般には決して知名度はなかろう。有名ブランドのマスプロ商品の方が、持っていれば「あ、いいの持ってるね」と声を掛けられる確率は高かろう。もちろんハイブランドの商品には名前に応じた品質保証があって然るべきなので、それらを貶める気持ちは微塵もない。あくまで個人の好みの問題として、職人個人が自身の手で責任の取れる範囲で造っているような部分に好意を寄せるのである。これはお店でも同様。主人が自分の賄える範囲で切り回しているような店が好きだ。
そういう偏愛と、「長い時を経て魅力を増していく」という部分に感じる愛着。どうやらそれらが、僕の、あらゆる趣味に通底するところのようだ。