旭日

旭日三傑

 かつて大学生の時、食通の師匠に飲ませてもらって記憶に焼きついている酒が「旭日・大吟醸」。「旨い!」という記憶しかなく、どんな味だったかという肝心なところがサッパリ記憶にない。幸いなことに最近この藤居本家という蔵元のホームページを見つけ、またそこで酒の通信販売もしていることを知り、注文をしてみることにした。http://www.biwa.ne.jp/~tetujin/shop/shop.html
 インターネットで「旭日 大吟醸」と検索すると、出雲のお酒がいっぱいひっかかってくる。この藤居本家は陰に隠れて見つけにくかった。そもそも近江の地というのは、様々な方面で良質の特産品を生み出しているにもかかわらず、名前が表に出で来ない。名よりも実を取る風と聞く。全国に名の通った名品、実は生産は近江ということが珍しくないようだ。かのチャールズ・チャップリンが愛用したステッキがここ近江産の竹ステッキだったというのは割と有名なエピソード。酒も然りであんまり近江の名酒というのを聞かない気がする。
 さて注文したのは「蔵の誉」と題された3本セット。特別純米「欅」、純米大吟醸杜氏の舞」、純米大吟醸「天地和楽」。手元に残っていた最後の「鶴の友」の純米と、先日買ってきた「東長」の純米も開けて、妻が外出しているのをいいことに昼メシがてらにひとり利き酒会としゃれこんだ(ただののんべえ)。
 東長は口に馴染んだ甘口。旨みがなんともいえない。鶴の友は、あの「上々の諸白」を飲まれた方はおわかりだろうが、とても華やかなタイプのお酒だ。これは大黒正宗大吟醸と似ている。対してこの旭日のお酒はしっかりしたタイプのお酒。欅が一番強い味わいである。中でも香りがふくよかなのが大吟醸杜氏の舞。大吟醸らしいよなあ。一番気に入ったのが天地和楽で、しっかりとしていて滋味深い。これはいわゆる酒好きの方が気に入るタイプの蔵ではないかなあ。辛口の雄、とでも言おうか。菊姫がドカンと来る最強に強い味のお酒だけど、あれは好き嫌いがあると思う。旭日は強い、というより辛口。深みもある。これまた旨い!
 酒類の中でも人気の下がっている日本酒だけど、こんなにもいろんな味わいがあって、本当に楽しい。焼酎も決して嫌いじゃないが、やっぱり飲むなら日本酒だなあ。