こんな企画があっていい
映画『太秦ライムライト』。
斬られ悪役専門で長年やってきた老優が、若い未熟な女優に稽古をつけ、やがて女優は出世していくが、老優は静かに退場しようとしていた。そんなある日、女優から老優に、さいごの大舞台が提案される…
チャップリンの名作『ライムライト』をしがない時代劇俳優に置き換えた作品。ではあるのだけれど、それよりも何よりも、「斬られ」一筋、福本清三さんの人生そのものと言った方がいい。
大きな観客動員なんて、最初から期待されずに立ち上げられた企画だろう。ただひたすら、福本さんへの敬愛、そしてさびれゆく時代劇への愛。福本さんにとって初の主演映画。その脇を、松方弘樹、萬田久子、小林稔侍といった大物が支える。本当に、「粋」な作品だと思う。
こんな映画が作られて上映される。まだまだ日本映画の心意気は死んでないと思う。