映画『メイジーの瞳』

 六歳の少女の目を通して描く大人の身勝手。と、まとめてしまうとちっとも魅力が伝わらない。思いテーマだが軽やかに描かれているし、身勝手な父と母(特に母)だって、娘を愛してるという言葉には何の偽りもないという人間描写のリアリティも魅力的だし、でもそれよりなによりメイジー自身が魅力的過ぎて困ってしまう。まだ幼い子を天才的にうまく演出しているのか、この少女が天才俳優なのか。
 子どもって、どこまでわかっててどこまでわかってないのか、計り知れなくなってしまう。いづれにせよ、後半、メイジーが見知らぬ部屋で目覚めて初めて見せる一筋の涙には切なさに気が狂いそうになってしまうし、「子育てって、どこまで芯からその子のためを思ってやり通せるのか」を突きつけられて、「なりたて親」には本当に忘れられない作品になったと思う。
 ラストを、どう受け止めようか。初めてある決断をし、船出に駆けていくメイジーの表情を。