そういえば、暫くこういう映画を観てなかった 二

 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
 ジム・ジャームッシュ久々の新作はヴァンパイア映画。
 僕もご多分に漏れずこのジャンルが結構好き。と言いながら「観たい観たいと思いながらまだ」という作品がかなりあるけれど。ブルーレイソフトを予約している『ビザンチウム』(あの『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のニール・ジョーダン監督!)も早く観たい、と、ひとりでブーム再燃の兆しあり。
 しかしヴァンパイア映画といってもいつものジャームッシュ節は健在で嬉しくなる。中には「フン、なにお高くとまってるねん」と思う人もいるだろう。人を選ぶ作品だと思う。
 人類の文化作品の多くが「彼ら」によってもたらされたことがほのめかされるが、文芸や音楽の様々な「チョイ蘊蓄」がちりばめられているところがくすぐったくさせられて楽しい。血の調達の方法も今どき流で、お馴染みの「ガブッ」とやろうとすると、現代人の血は汚染されていてエライことになる、というのもありそうな話で身につまされる。
 「スタイリッシュ」という単語は鼻持ちならないし手垢まみれでもあるけれど、「スタイルこそ作品」という感覚も思い出させてくれる。心地よい。

 監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
 出演:トム・ヒドルストン ティルダ・スゥイントン
 公開中