新聞週間ですよ

 毎年恒例、秋の新聞週間です。新聞各社特集を組んでいて面白く拝読しました。まあ欲を言えばもっといろんな企画を組んで啓発して欲しいと思いますが。
 今年度は担当している科目の加減で、特に新聞を使った授業に取り組む予定はないのですが、大抵この時期いつも何かやっています。準備のために大手四紙を数週間買い続けたりして。
 新聞ではオピニオン欄が好きです。特に、あるテーマについて複数の人の意見を並べるようなものは面白いですね。対立する意見の双方の立場から考えたりできます。時に新聞社の思想と反対のものもちゃんと掲載したりしていると、その新聞社の見識を感じます。

 最近面白かったもののひとつに、図書館の将来についてというものがありました。これは中学校の方の授業で使いました。
 これからの図書館はみんなが集まる空間でなければならない。大手レンタル・書店系列の方は、そこから「ニーズ重視」を謳います。(因みに最近のニーズといえば「カフェと雑誌」だそうです。)
 一方で個人書店主の方は、図書館が売れ筋に走ってはいけない、小規模店では利益が出ないためになかなか保持できない「良書」を提供できる場でなければならない、と論じます。この二つの発想は相反する。
 並行して他の記事では、いろんな業種でカフェを取り入れて集客・業績のアップを図っている、とあります。また某大学では学生の声を聞いて図書館をオシャレにし、カフェを併設したら利用する学生が増えた、との記事も。
 僕は個人的には図書館が、殊に大学の図書館が売れ筋に走るのには反対です。図書館と言うのは、その学校の「知」と「文化」、「教育理念」の鏡です。学校にとって大変重要なポイントです。地域の図書館とは少し分けて論じないといけないでしょうが、流行だけ追っかけて人を集めても、それが教育と言えるのか、と思います。
 地域の図書館も含めて、図書館が旧態依然としている時代ではない、というのは判ります。コミュニティの要所として、どんなサービスを提供していけるか。どんな空間にしていくべきなのか。そう考えると「みんなが気軽に集まれる場」という視点は外せない。でも、その仕掛けとして売れ筋に走るというのは安直だと思います。博物館的要素と繫がったり、お年寄りや障害を持つ方も集まれて楽しく活用できる場、外国の方などいろんな立場の人たちとの交流の場にできないか。溢れかえった情報の中で、「ここに来れば自分が求めていたものと出会える」という、人材と設備を備えた場にならないか。一般の読書好きの人が情報を発信し、読書離れしている人への刺激になれるような工夫ができないか。そのためには思い切ってネットも活用できないか。
 アイデアはいっぱいあると思います。もちろんお金がかかります。でも自治体は本来そういう文化面にもっとお金を使う必要がある。ね、市長。
 つらつらと長く書いてしまいましたが、こんなことを考えるきっかけも新聞が与えてくれます。新聞は「真実を教えて貰う」ものではありません。「真実を考える」ためのものです。新聞を読みましょう。