テレビシリーズ第2弾も終わって間も開きましたが

 「ガリレオ」。前シリーズのテレビを全部見た訳ではないけれど、興味を持つきっかけとなったのは確か。それで原作を手に取って、最初の短編二冊と長編「容疑者Xの献身」を読んだ。「容疑者X」はかつて教頭先生絶賛だったのでずっと読みたいとは思っていた。
 原作を読んでみてびっくりしたのが、一つに主人公湯川の人物像が全く異なり、イメージモデルは佐野史郎だった、ということ。二つに内海という女刑事はおらず(上記三冊の範囲では)、男性の草薙刑事が湯川の学生時代の友人ということで狂言回しの役割を担っていた、ということ。
 今回テレビの第二シリーズは妻が親切に全部録画して見せてくれたので見落としはゼロ。併せて文庫化された続巻三冊も購入。例の「利休三昧」に手間取って、読み始めた頃にはテレビシリーズは終わってしまっていたけれど。先日「聖女の救済」を読了。
 「容疑者X」映画化のタイミングで作られたドラマスペシャルで映像作品にも草薙刑事が登場し、原作でもそれに先立って短編集「ガリレオの苦悩」から内海刑事が登場。湯川も福山雅治のイメージで描かれるようになっていって、両者が歩み寄る形になった。これは大変異例のことと思う。原作が映像化作品に歩み寄るなんて! 
 にもかかわらず、ドラマでは内海刑事は退場し、岸谷という女性刑事が登場。理由はいろいろ語られている。真偽のほどはわからないが、インターネットでは俳優同士の人間関係云々という解説まであった。事情はどうあれ、これを原作者はどう思っているのだろう。随分と失礼なことに思えるのだけど。
 原作では内海はかなり優秀な刑事だ。湯川とは対照的に徹頭徹尾直感の人だけれど。草薙は少しヌケているが、人当たりが良く、個人の感情に負けずに刑事たらんとする好人物だ。岸谷という刑事も登場するが男性と思われ、ほんの端役に過ぎない。
 ドラマについて云々するつもりはない。あれはあれでファンが多く、独自の世界を確立している。しかしと言うかやはりと言うか、予感通り原作はやはり良い。相違点は相変わらず多い。「聖女」などタイトルの「救済」の意味合いが全く違ってしまっているし、内海・草薙(更に若山など本作のみの幾人かの登場人物)の不在により、随分薄められてしまった要素が多い。そのぶん容疑者と湯川が幼馴染みであったという要素を加えて、ポイントをその二人の人間関係にシフトさせていた。
 原作はこの後もドラマに歩み寄るのだろうか? シリーズはまだ続きそうだけれど。「真夏の方程式」は既に手元にありこれから読んでいくし、原作は、続編も文庫化されたら読んでいくと思う。

映画『夢みるように眠りたい』の佐野史郎、いいよね。