『007 スカイフォール』①

 公開を心待ちにしていましたが、初日に観ることができました。結婚七年にして妻は僕の好きなものを熟知。この日は妻方の家族と忘年会でしたが(そのお店もとっても良かったのでまた改めて報告します)、その後でもう一回上映があるのをチェックしてくれていて、二人で観に行きました。映画の日でもありましたし。
 シリーズを今作で初めて観た妻曰く「ツッコミどころ満載やったね」。そう、そういうシリーズなんです。が、僕の見た処ではこれまでのシリーズよろしくそんなにご都合主義的には感じませんでした。むしろ脳内補完できるところはどんどん無駄を削って行った、という感じ。
 さて内容について。長文になりそうなので分載になると思います。

 満を持しての鑑賞でした。シリーズ全作を(随分月日はかかりましたが)公開順に見直した上で待っていたのです。そうすることによって、主演俳優と制作時代の違いによる個々の作品の作風の差異がとてもよくわかりました。
 古い映画というのは本当におおらかで、普段頭の中で「007といえばやっぱり初代のショーン・コネリー」と決めてしまっていますが、いやそれは間違いなくそうなのですが、やはり人間「古き佳き」を美化するところがあって、今観ると随分長閑だし、アナだらけでもあります。時代のスピード化技術の進歩でそれは致し方ない。それらを補って余りあるオーラと色気。初代ボンドはそれに尽きます。もしかしたら若い人に今見せても、もうひとつピンと来ないかもしれませんが。
 「どのボンドが好きか」というのは定番の質問ですが、実は僕は「どのボンドも好き」。だって個性が違うんだから。たった一度きりだったジョージ・レイゼンビーも含め(もし『女王陛下の007』がコネリー主演だったら、あんなふうな名作にはならなかっただろうと思います)、どのボンドにも良さってもんがあります。強いて言えばロジャー・ムーアのボンドだけはもうひとつ好みには合わない、とは言っても、『ユア・アイズ・オンリー』と『私を愛したスパイ』は好きだし、イマイチと言われる『黄金銃を持つ男』やムーアが老け込んだおしまいの方の作品だって、捨て難い魅力はあります。
 それにしても、だ。
 今作は、もしかしたらシリーズ最高峰の傑作ではないですか? それとて勿論好みは人による、とはいうもんですが。(と、結局具体的な話に入らずしてつづく)