初心者に勧めるということ

 太郎丸さんと紫さんがこちらに注目されhttp://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1849796&media_id=29、そして紫さんが真の初心者向けとはということを書いておられて面白かった。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1804925623&owner_id=666136(何れのリンクもmixiより)
 紫さんが仰ることがよくわかる。ことはウイスキーに限ったことではなく、何ごとにせよ、初心者にこそまず一流に触れてもらうことが肝心だと思っている。素人には良さがわかるまい、などと考えるのは間違いで、いや確かにいろいろわからないことはあるだろうけれど、その世界で最初に何に触れるかというのは、後々のことを考えたとき大問題だ。「わかりやすいけどそこそこ」のもんから入らせて「こんなもんか」と思われては、後が続かない。「なんだかよくわからんが、これはきっと何か凄い奥があるに違いない」という「ひっかかり」。これが大切だと思う。僕自身、住太夫さんで文楽に触れ、ハービー・ハンコック山下洋輔さんでジャズの洗礼を受けたことを本当に幸せだったと思っている。
 で、僕が初心者にウイスキーを紹介するなら。なんて、上から目線で語れるほどまだウイスキーを知らないが、以前西宮のバーで弟に飲ませたときは、マッカランのグランレゼルバとラフロイグクォーター・カスクを比べ飲みさせた。基準としては、まずシングルモルトの個性の両極。そして質と同時に、そこそこのバーならどこでも置いていそうなもの。上質は絶対条件だが、あとで自分でオーダーしようとしても見つからないというのも考え物と思ったので。これがバー・メイン・モルトなら思い切ってベンリアックの76ビンテージという、本音中の本音をぶつけたろうけれど。バー・オークス・ドラムに職場の同僚を連れて行ったときには、その「筋の良い」初心者に、マスターはマッカランのやはりグランレゼルバとボウモアのふたつ前のラベルの16年を薦めておられた。
 ちなみに、僕自身がシングルモルトの世界に分け入って最初に「すげえ」と思ったのが、アードベッグの、当時まだ少し出回っていた17年。ここから深みにはまった。にしては、最近はあまりアイラモルトは飲まない。時々無性に欲しくなるけれど。
 入り口からストレートに進んでいくものとも限らない。けれども、初心者には是非ともその世界の高みと凄みにまず触れてもらわなくては。紹介者の責任は案外思い。