小説『KAGEROU』

 感想文週間最終日は映画でなく小説になってしまいました。でもこれも書いておかないとね。
 読み始めて暫くは描写がたどたどしく感じられずっと苛々させられましたが、第二の人物が登場すると以降はほとんど会話で進行することになり、描写にひっかかることはあまりなくなりました。主人公のダジャレが世間でやり玉に挙げられてますが、あれはそういう下手なダジャレ好きな男という設定なのだから別にいいのでは、と思いました。「イギリスならジンだな。イギリスジン、なんちゃって」には(狙い通り?)引きましたが。
 正直、思ってたより面白かったです。後半結構没頭しました。もちろん科学的・医学的には相当ムチャです。これまでになかった物語でもない。総体としてやはり「アマチュアの小説」の域は出ていないとも思います。でも自分なりに真面目にテーマを設定し、正面から向き合っていたとも思います。あま、それをどの程度に評価するのか、というのは難しいことだとは思いますが。少なくとも先入観で全否定することはないかと。
 「色メガネ」ということで言うと、案外若い人の方キツいような印象を受けました。朝読書の時間に教室に持って行ったのですが、さすがにこの本に目をつけて声を掛けて来る生徒は多かったです。でもその多くはハナっからの否定的なものが多く、意外に感じました。安直に、人気のある芸能人の作品だから、生徒は飛びつくのかなと思っていたら逆でした。「俳優に小説なんて書ける訳ないやん」と、そう口にした訳ではないのですが、そういうニュアンスを感じました。読みやすいし、過剰な刺激以外何もないケイタイ小説ばっか読むくらいなら、こっちを選んだ方がいいんじゃないかと思うのですが・・・・。
 褒めてるんだかなんだか分からないような感想になりましたが、何がなんでも貶さないと沽券にかかわる、とみたいな意識だけはイヤですよねえ、全く。

 ところで。最後のページの、誤植を修正するテープ。あれ、意図的なものなんでしょうか? だとしたら、随分手の込んだことをするもんです。
 ところで2。これ、やっぱりドラマ化とか映画化とかいうことになるんでしょうか。となれば、絶対「キョウヤ」は作者自身がキャスティングされるのでしょうね。「ヤスオ」は阿部サダヲ? あとのキャストは誰でもいいよね?