ハードボイルドの原点(3) 映画の中のマーロウ

 マーロウものの映画化作品は代表的な三作すべて鑑賞済みと書きましたが、本当にお恥かしながらストーリーなどは殆ど記憶に残っていません。ただ主人公の雰囲気だけが印象に残っている。ああ、それから今回『ロング・グッドバイ』を読んでいる間中、ずっと映画『さらば愛しき女よ』の音楽が頭の中で鳴り響いていましたが。『三つ数えろ』『さらば愛しき女よ』『ロング・グッドバイ』、更に他の映像化されたマーロウも、改めて観たいものです。
 上記映画でマーロウを演じたのは、ハンフリー・ボガートロバート・ミッチャムエリオット・グールドです。何といってもハードボイルドが似合うのはボギーですが、彼はマーロウだけでなくキャラクターの全く違うハメットのサム・スペードも同じ調子で演じているのですから、それらの映画が映画としてはよく出来ていても、必ずしも原作のキャラクターを体現していたとは言えないのかもしれません。ロバート・アルトマンが監督したエリオット・グールド版のマーロウは、あまり評判がよろしくありませんね。70年代に話を変えただけでなく全体的なムードも既成のものを意識的にぶっこわした観があるので。でも、・・・・これはもう一遍見直してみないと何とも言えませんが・・・・作品としては随分良かったのではないかという印象が残っています。
 いつもいろんなところでゲームとしてされているのが、「誰がマーロウとしてベストか」。これはもう本当にびっくりするくらい人によってイメージは違うようで、人さまが仰っているのを「うそ!それはありえへんやろ」などと思ってしまうこともしばしば。数年前にクライブ・オーウェンで映画化するという話が持ち上がってたはずですが・・・・。個人的にはこれはバッチリのキャスティングではないのかなあと思っているので、今からでも是非実現化して欲しいですねえ。僕の感じではマーロウがクライブ・オーウェンで、サム・スペードがダニエル・クレイグですかねえ? なんだ、ボンドを争った二人じゃないか。どっちもアメリカ人じゃないな。ちなみに作者自身はケーリー・グラントが似合うと考えておられたとか。

(横浜のプリン屋さん「マーロウ」のロゴは、まんまボギーですね。)