シャーロック・ホームズ! ①

 たまたま続けて柳広司『我輩はシャーロック・ホームズである』を読み、ガイ・リッチーシャーロック・ホームズ』を観ました。奇しくも双方にアイリーン・アドラーが登場していた!
 映画は製作発表のニュースを読んだとき「なんちゅうキャスティングや!」と思ったものですが、このこれまでにない破天荒なホームズとスマートなワトソン、結構面白かったです。そもそも過去さんざん映像化されて来た作品です。今更オーソドックスに作ってもしょうがない、と考えてもおかしくないでしょう。本当にホームズが好きな人、いわゆる「シャーロッキアン」の方には我慢ならないかもしれませんが、そうでもない人が「これはホームズではない」と断ずるのは早計かと思えるくらいには意外と原作を読み込んで作られていたように見えました。そういえば昔『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』という映画もありましたね。後半がインディ・ジョーンズっぽいアクションものになってたのが批判されてましたが、あれもあれで案外面白い試みでした。本作はこれは間違いなく続編考えてるんでしょうね。最初は「面白い試み」で楽しめますが、シリーズ化するのであればそれなりの覚悟も工夫も要るはず。さて、どうなるか?
 柳広司の小説の方はホームズファンにも好意的に受け入れられそうなくらい自然な作品世界でしたが、漱石のあまりのまぬけっぷりは少々違和感が残りました。確かにロンドン在住の2年間がどれほど漱石にとって苦痛であったか、というのもよく表現されていて面白いのですが・・・・。同様の趣向(ホームズと漱石という取り合わせ)では、山田風太郎の短編『黄色い下宿人』の方が僕は好きです。(長くなったので二回に分けます)

案外日本ではホームズといえばこの作品、という人も多いはず!