シェリー樽熟成モルトのリポート

 シェリー樽熟成のシングルモルトと言えばマッカランが老舗だけれど、「最近のマッカランは・・・・」という声をよく聞く。昔のものを知らない僕は「そうなんですか」としか言えなかったが、数年前に出た「グランレゼルバ」は、「マッカランも本気出したらええのん作るやん」という評判に力強く納得できる旨さだった。ここ数年毎年リリースされている。それくらいのでないと、シェリー樽熟成のモルトは下手するとしつこかったり渋かったりするのであんまり普段好んで手を伸ばすことがないのだけど、ここのところ「当たり」のシェリー熟成が続いている。
 まずグレンドロナック。ビリー・ウォーカー氏が着手して以降次々出されているボトルはバー・メインモルトでマスターが揃えておられる。72年のが飛び抜けているそう。今度国内扱いでも72年のがリリースされるが同じものではないそう。手に入りやすいものとして1993年蒸留の16年ものを飲ませてもらったけれど、シッカリ濃厚なシェリー風味がついている一方で後口はスキッとしており、苦さも渋さも残らない逸品だった。72年のは是非飲んでみたい。
 またグレンモーレンジが出したソナルタはペドロヒメネスシェリーの樽による熟成だが、そのダークな風味はちゃんとあるもののとても上品でクリア。モーレンジらしさを全く損ねておらずバランスがいいと思った。これはオーガスタで頂いた。
 もうひとつはバー・ハーバーインで何かボウモアで薦めて下さいと申し上げたら出して下さった、常連さんが蒸留所で買って来られたというシェリー樽熟成の1本。熟成年数などの表記はなかった。ボウモアシェリー? とも思ったが、これがまたシェリーの風味とボウモアらしさをしっかり共存させた旨いモルトだった。例のパフュームっぽさは全く出ておらず、これなら誰が飲んでも納得のボトル。では? こいつは家に1本欲しいなあ、と思わされるが、日本に居ては手に入らないのでしょうねえ? ハーバーインに行きましょう。

(そうそう。少し前のだけど、ベンリアックの赤いラベルの12年ものもシェリー樽熟成ですが、あれもいいです。もとは台湾あたりの限定リリースだったのが日本向けにも出された代物。これが値段は一番お手頃かも。)