ほんとうは

 昨日の日記であのようなことを書きましたが、本来批判精神は大切なものです。
 何でもそうですが、本当に良いもの、本当に大切なこととは何か−それを見極めようとしていくことは、文化的にも社会的にも本来人間に不可欠の要素だと思います。
 そもそも「良いもの」って何だ? という話になりますが、これは大変難しい。商品にしても、高価なモノが「良いもの」とは限らないし、人気のあるモノが「良いもの」というわけでもない。ひとつの尺度として、「永く残るもの」という基準は信頼に足り得るもののような気もしますが、昨今の大量生産・大量消費の社会では、また「売れるモノにしかカネを出さない出資者」ばかりになってしまった世の中では、それすらも覚束なく思えてきてしまいます。
 だからこそ、身のまわりの事象に対して常に批判精神を向け、より上質なものを志向し、粗悪なものは淘汰していこうとすることは大変重要です。ただここで忘れてはならないのは、この時、「自分を棚上げしない」ということでしょう。何よりまず第一に、自分自身に最も厳しい目を向けること。これが基盤として無いのであれば、それは「批判」ではなく悲しいただの独りよがりになっていることだろうと思うからです。
 辛口批評家たらんとするものは、まず自身に辛口でなければならないのではないでしょうか。