ライターよ、オリジナルを書け

 僕には大変珍しいことに、「薔薇のない花屋」は見ていました。第一回のオープニングから「これは違うな」と感じさせる力を持っていて気になりましたが、ちょうど9時台というのは大抵風呂に入る時間帯で、毎週気になりながら最初とか最後とか途中とか、中途半端に見ていて(妻はテレビドラマ好きなので毎週テレビ画面には映っていたので)、展開を知ってるような知らないようなという状態でした。それが、ご覧の方はお解かりでしょうがあのシリーズ最大の衝撃的なシーンを観てしまってから俄然興味をそそられて、ネットで探してそれまでのあらすじを読んで(だいたい人気テレビドラマなら詳細に語ってくれている個人のサイトがあるもんです)次の週から毎回ちゃんと観るようになりました。最終回に向けてお昼に再放送が始まると、妻が録画してくれて、それでも数回飛び飛びでしたが観ることもできました。
 毎回伏線を示して興味を掻き立てる作劇術も見事ですが、再放送で見直すと初見で気づかなかった含みやニュアンスもあります。これは繰り返し観るに堪える作品なのです。それに、登場人物それぞれが抱える思いや過去をみんな説明してしまうことなく巧みに「感じさせる」にとどめる懐の深さもあります。こういう作品なら、テレビドラマも毎週楽しみにもしようというものです。
 やっぱり基本はオリジナル作品ですよ。ライターさんたちだって、本当はオリジナルを書きたいでしょう。お仕着せの企画ばかりでなく。なにしろテレビドラマは視聴率が唯一絶対の指針ですから昨今のようにもとから人気のある漫画などのドラマ化ばかりで、必ずしもそこに「いいものを作ろう」という志はないわけです。漫画のドラマ化を全部悪いとは言うつもりはないんですよ。本来脚色というのも相当な力量と必然性が要るんです。野島信司は脚本家の名前で視聴率を稼げる数少ない存在だからこそ本人の好きなように作品を書けたのだ、という事情はわかります。でも、テレビがそういう脚本家を育てなければいけないだろうと思うのです。そしてやっぱりこう思うのです。茶の間の視聴者をバカにするもんじゃない、と。きっといい作品がテレビドラマだって一定の支持を得ると思うんです。逆にいくら人気のある漫画をドラマ化しようと、出来が悪ければ視聴者はそっぽを向くのではないか、と。だから申し上げたい。ライターよ、オリジナルを書け。テレビ局よ、もっと質で勝負する志を持て、と。
 (こちらでは手放しに褒めずに客観的に分析されてます。http://www.alived.com/blog/