話が聞けない

 今朝の朝刊に、全国都道府県の高校入試で国語にリスニングを取り入れる動きが加速しているという記事がありました。新学習指導要領に盛り込まれている課題の中に「読む」「書く」だけでなく「聞き取る」も入っていることを受けてというのが基本的な動機ですが、「生徒が話を聞けない」という現場からの悲鳴が裏にはあるとか。
 実際、本当に生徒はひとの話が聞けません。一日の終わりのショートホームルームだってほんの1〜2分静かにしてればさっさと帰れるのにね。「はよ帰ろうや」とグズる割には喋るのは止めない。授業でも、作業を指示した次の瞬間「何すんの」「どうすんの」。また、ロクに説明聞かないうちから「全然ワケわからんし!」と独りでキレてる奴も。
 先日金曜日は「総合的な学習の全体発表会」という恒例行事で、全校生徒が3年生の優秀発表を聴くのです。まあ「だるいなあ」とロクに聞く気のない子が多いのは容易に想像できる訳ですが、今年はちょっとこれまでにないくらい酷かったです。全部で2時間ほどのものなんで途中にトイレ休憩を入れないのですが、もう、しょっちゅうトイレに中座するのです。それも2人とか、多いと5、6人連れ立って。もちろん全く「ごめんなさい、ソッと行きます」という感じではない。しゃべくりながら、堂々としたもんです。本当にあちこちでひっきりなしなので、まるでホール全体の雰囲気としては休憩中みたいです。更に、おそらく相当数の生徒が携帯やipodやなんかでこっそり音楽を聞いている。こっちもうろうろする訳にいきませんから、手の届く範囲でしか注意ができません。それでも僕の前に並んで座ってた子はほぼ全員がイヤホンを耳に入れようとして僕に肩捕まれましたね。もしかしたら、大半の子がそうしていたのかもしれない。
 これは、恐ろしいことです。最初から心がけがなっとらんというのもありますが、とにかく2時間ほどもじっと人の話聴けなくなってるんですよ。ウチの生徒の実態で言うと、授業時間はひとコマ30分程度が関の山ですね。全然悪気はなく、2分ともたない子もいます。この現状は、実際本格的に研究協議の対象として、なんとか手を講じる必要があると思います。
 でも。そうだからと言って、高校入試にリスニングというのは、どうも違うという気がします。根本にあるのは、コミュニケーション能力の欠如、躾ができてなくてちょっとも我慢をすることを知らない、などの問題です。国語の授業にリスニングを取り入れて訓練するという方法が全く無意味などと言うつもりはないのですが、もっと本質的なところを見ていかないと、と思います。思うだけでじゃあどうするかと言うと「困ったもんだ」と腕組みするばかりなので、全く何の役にも立っとらんのですが。
 しかし本当にこれは深刻な現象ですよ。
 
 また明日からウイスキーの戯言に戻ります。