めっけもんの「富士御殿場12年」《日本のウイスキー 最近の話②》

歴代エバモア

 ごく近所に在る酒屋の「東鶴」というところが、思いがけなく酒の品揃えが豊富なのだと知った。店の前は何度か通っていたのだけど(かつて麺喰いでも通りましたよ)、なにしろそれは灘の酒蔵が密集している地域で、目がそちらにばかり行ってしまって一見ただスーパーと兼業という感じの酒屋さんにわざわざ入ってみようとも思っていなかった。妻が誘ってくれたので入ってみてびっくりした次第。一番の品揃えはワインで、少し前雑誌に載ってたリーズナブルワインをあちこち探し回ってたものの中の幾つかはここに置いてありました。早く言えよ東鶴! ちなみに東鶴という名の地酒が山陰の方にあったと思いますが、あれとは無関係の模様。
 前置きがすっかり長くなりました。その店で見つけたのが富士御殿場12年です。富士御殿場というのはキリンディスティラリー所有の蒸留所。「富士山麓」という同じ名で、「樽熟50」というリーズナブルなウイスキーと、シングルモルトで大変高価な「18年」とが出回っている。ややこしい。出回っていると言っても18年は滅多にお目にかかることもない。味は大変クリアでフルーティな風味が特徴。バー・ハーバー・インでこれを飲んで僕は大層気に入って、自宅にはネットで見つけた「富士御殿場20年」というのを置いてある。これは他所では酒屋でもバーでもお目にかかったことがない。バー・メイン・モルトならきっと言えば出してくれるんだろうけど。で、この20年は富士山麓18年より安いのだけどよく出来ていて気に入っている。しかしこのシリーズで12年というのがあるのは全く知らなかった。活字でも写真でも見たことがなかった。それが件の酒屋東鶴に1本ちょこんと置いてあったのです! しかも悩むこともないようなフツーの価格で! そしてこれが旨い。20年や富士山麓18年と共通する風味はちゃんと持っている。これが容易に入手できるものなら、普段飲みに持って来いだ。東鶴さん、また入れてくれるかなあ?
 ちなみに蒸留所のオフィシャルサイトショップでは、ちょくちょく期間限定で蒸留所でしか買えないようなものを販売しているらしい。今なら「富士御殿場シングルモルト18年」(市販の富士山麓18年とは別物なんですよ。本当にややこしいなあ。それぞれ名前付けてくれればいいのに。)と、グレーンウイスキーの「シングルグレーン15年」が販売されている。とっても気になっている。気になると言えばこのキリンディスティラリーが出しているブレンデッドウイスキーの「エバモア」も興味がある。http://www.kirin.co.jp/brands/sw/gotemba/products/evermore/evermore.htmlブレンデッドといってもこれは1999年から2005年まで、毎年違ったモルトブレンドして出されたという個性派なので、またまた飲み比べてみたくなる。まだ僕は活字でこのウイスキーの評を読んだこともないが、さてどんなものなのか。安いものではないから、安易にあれもこれもと買って比べてみる訳にもいかない。店頭で見つからないのがある意味幸いと言うべきか。