僕がウケて、妻が気分を害したクリスマスイブのエピソード

 別に夫婦喧嘩をしたわけではないのでご心配なく。
 24日にふたりで神戸を散策したと書きましたが、北野でちょっと面白いエピソードがありました(なんて言うのも大仰なのですが)。ずいぶん歩き回って北野まで来て、小雨は降っているしイルミネーションが点くまでもうちょっとだけあるし、どこかでお茶でも、と適当な店を探しました。この辺りは珈琲専門店は多いのですが、妻がコーヒーは飲まないのでそういう店ではない方がよかったんです。それで、レストランだけどお茶とケーキのセットもあるというお店に入ろうとしたんです。そしたら外国人の店員さんが出てきて、お茶ならテラスになる、と言います。テラスは寒いと言うと、店内はこれから膨大なクリスマスディナー客の準備があり、予約したいならもう何日も前からしないとダメなのだ、もう大変な準備ですごいストレスなのだ・・・・ということを、ややたどたどしい日本語で訴えるのです。無論入るのはやめて出てきたんですが、僕は大笑いしてしまいました。妻は「客に言うことじゃないだろう」と怒っていました。ここは妻の反応が正しい。外国人だろうとバイトだろうと、お金もらってサービス業に従事している以上、プロ意識を持って仕事してもらわないと困る。客に愚痴を言うなんて言語道断である。
 でも、こう思ってしまったのです。きっとキリスト教圏の人から見ると、日本人がクリスマスで騒ぐのは不可解だったでしょう。この日のディナーやホテルをやっきになって予約する、テレビでも「クリスマスの夜くらいゴージャスに過ごしたいですよね」などと女性リポーターが喋っている、そういう様子を見たら「なんでやねん」と、関西弁ではないでしょうがツッコミのひとつも入れたくなるのでしょう。そのうえ、そんな不可解な現象のあおりを喰らって自分の仕事が殺人的な忙しさになって、もう面白くなくてしょうがなかったのでしょう。僕が思わず爆笑してしまったのも、彼には理解できずさぞ不愉快だったろうと思います。
 そうして二人で店を出てきて、看板を見て始めて気づきました。「ここ、予約キャンセルした店やん!」
 実は、はじめこの日は十人並みに僕らもクリスマスディナーを予約するつもりでいたんです。ただどうしても1万円はしない店にしたかった。で、北野の店で検索したところで条件に合う店を予約した。たまたま予約の電話を妻に頼んだのですが、予約はしたものの、店員の応対がすごく悪かった、と言うのです。それでそんな店ならやめておこうと話し合って、別の店を探したんです。ところが日も迫っていてもう目星をつけた店はどこも予約でいっぱい。という経緯があって、それでディナーはやめてランチを予約し、晩はキムカツで、ということになったんですね。昨日は偉そうな書き方をしましたが。でキャンセルは僕が電話したんですが、そのときは対応とても丁寧だったんです。あれ? と思ったのですが・・・・
 謎は解けました(また大袈裟な言い方ですね)。妻が電話したときに応対したのが、件の外国人の店員さんだったんですね! 彼なら、そりゃふてこい対応(しかもたどたどしい日本語)だったでしょうとも。 「ごめんちゃい。キャンセルした客でした・・・・」とささやいて、立ち去ったのでありました。