北新地のバー

光るカウンター

 念願の北新地バーめぐり。紫さん、libra55さんとご都合がついたので、行ってきました。僕がかねてから行ってみたいと思っていたふたつのお店へ。
 まず「bar 織田」。こちらはまず紫さんとふたりで。事前にホームページhttp://www.jttk.zaq.ne.jp/bar/を拝見していて、「始めての方500円オフ」というページまでちゃっかりプリントアウトして持ってってました。とても端正な雰囲気。カウンターにボトルを下から照らす場所があったりして工夫満載です。マスターは何かお仕事の話をどなたかとされてて、まずは若いバーテンダーの方が応対してくれました。僕は白州の18年。飲もう飲もうと思っててなかなか口に入らなかったこいつから。紫さんは、名前は失念しましたが珍しい16年ものというバーボン。白州18年は期待に違わず美味しいモルトでした。とにかくスキッとしている。そして後味はやわらかに広がる。
 こちらのバーテンさんは積極的に話しかけて下さる。いろいろとお酒のことを教えてもらう。若いのは見てわかったけどなんとまだ26歳と知ってちょっとびっくり! 落ち着いてはるなあ! やがてマスターが来られて丁寧に挨拶して下さる。改めて白州の説明をして下さり、なんと飲み比べということでその名もズバリ「山崎蒸留所秘蔵モルト」というのを一杯ご馳走して下さる。こちらはまたいかにも山崎らしいまったりとした口当たり。これも旨いな、と節操なくつぶやく。
 そろそろlibra55さんも到着する頃かと思い、あと一杯は初めてのアン・ノックをふたりで半分分けにして頂く。これはハイランドらしい爽やかな味。最初からハシゴを念頭にしていたので、名残惜しいながらここは早くも辞去。本当はここの名物「オリジナルのブレンド作り」というのにものすごく興味があったのだけど、いざボトルキープをして頻繁に来られるかという不安もあり、これは次回の楽しみとする。
 さて外に出て少しぶらつき(先ほど若いバーテンダーさんに、この北新地のエリアだけでバーと名のつく店は300軒ほどもあるのだと教わりびっくりしたが、確かにこりゃそれくらいはゆうにあるな、などと納得しつつ)バーボンの専門店「十年(とおねん)」さんの場所を紫さんに教えてもらったりして、なんとなくlibra55さんの到着を待つ。第二目的地のビルに着いてメールを入れてる時にlibra55さん到着。無事3人揃って、次は「bar oaks dram」。こちらは木の自然な姿を活かしたゆったりしたカウンターが印象的。当然先ほどのお店とは雰囲気は違うのだけど、どちらも一流ホテルのバーのご出身ということか、なんとなく共通するものも感じる。こちらもとても気さくながら丁重に接して下さる。ウィスキーの種類はかなりありそう。僕と紫さんはニッカ宮城峡の原酒から。libra55さんはグレンモーレンジの15年からスタート。libra55さんとも本当に久し振り。引越しの話やら何やら、いろいろと伺いたいと思っていた。その引越しで荷物減らしをしないといけないということで、以前僕が作るオリジナル推薦図書リストのためにご推薦いただいた何冊かの本をそのままそっくり譲って下さるとのこと。これはありがたい! 無論現物があれば生徒に勧めやすいというのもあるが、何より僕自身が読んでみたかったから。
 こちらのマスターも本当にお酒にお詳しく、いろいろな話を面白く語ってくださるが引きのタイミングもまた見事。話がグレンモーレンジのウッドフィニッシュからベンリアックも最近ウッドフィニッシュが増えたという話に移り、神戸のメイン・モルトのマスターと梅田のオーガスタのマスターがお二人だけでベンリアックの会というのをやっておられるのだという話になり、更にオーガスタがこの9月に20周年記念パーティをするのだという話題にまで進んだ。でその招待葉書をいただいたのだがこのデザインが傑作! またその写真もアップします。libra55さんはグレンモーレンジの何とロマネコンティ・フィニッシュという大物に挑戦。少しなめさせてもらったけど、さすがに香りが独特。悲しいかなロマネコンティそのものに縁がないのでそれらしい香りになっているのかどうかという判断は当然つかず。僕は次は余市の原酒の、ウッデイ&バニラという魅惑のネーミングのカスクストレングスを頂く。これがいたく気に入る。これはいい! 合うなあ! もう一杯ということで軽井沢の17年を次に飲むが、これはなんだか「するっ」とスムーズ過ぎてどうにも物足りない感じだった。一方で紫さんは枚方の酒屋さん「ブルータス」のオリジナルというラフロイグの8年に挑戦。ただし「クウォーターで」という初耳の注文の仕方。実はマスターも初めての饗し方とか。
 最後に、僕が東京で味をしめたものだから、おずおずとコースターをもらっていいですかと尋ねると、なんとも気前よくごそっとサラを出して下さった。チェイサーに使っている方はグレンモーレンジが作ったらしい、テイスティングのための表がデザインされている。お酒の方のコースターは、酒樽がベッドで寝ているユニークなデザインの絵。僕がこの図柄を見たような見ないようなと言うと来歴を教えて下さった。マスターが取り出されたのはマッカランが作ったコースターの紙芝居みたいなの。数枚でお話が物語られている。その表紙にあたるデザインの一部から、許可を得て作ったのがこのバーのコースターなのだそうだ。出したい写真が多いな、今回は。この写真は「bar 織田」の店内。

 初めての店のドアを開くというのは緊張するものだけど、今回は2軒とも本当に大当たり。そうしょっちゅうは来られないけど、是非また伺いたいと思った。まだまだ「バー」は奥深い。libra55さん、紫さん、どうもありがとうございました。