「関係ないんちゃう?」

 過日、テレビで花火観客の傍若無人というリポートがあった。花火会場の近所は大抵普段は閑静な住宅地。ところが花火大会となると見物客が大挙して押しかけ、朝から違法駐車車両の列が道を塞ぐ、若者グループが花火が済んでも深夜まで騒ぐ、翌朝にはあたり一面ゴミの山。僕も先日芦屋の花火を見に自転車で近くまで行ったけれど、容易に想像がつく事態だ。番組では顔をぼかしながら実際車を止めて降りてくる人物にリポーターがマイクを向けていた。「迷惑だとは思いませんか?」 子連れの男は「関係ないんちゃう?」 ええ教育しとるやんけ、ええ?お父ちゃんよお。
 せっかく来たのだし、つい自分に都合のいいように倫理観が緩んでしまう心理は、全くわからないではない。でもこんな開き直りのしかたには、僕などすぐイラッと来てしまう。前々から提唱しているように、迷惑な違法駐車車両には何をしてもいい、というふうにしてくれないかと、本心から懇願する。この人たちには倫理観や善意などかけらも期待できない訳だから。しかし、どうしてああも他人の迷惑に平気になれるのだろう。僕はこういう他人の迷惑に平気な奴にものすごく不寛容だ。生徒に対してでもそう。本気で怒ってしまう。
 今朝は出勤の満員電車で(それでもまだ高校生がいないだけ随分空いてるが)、目の前に座っていた青年に苛立った。隣に座っている紳士が少し詰めて席を空けようとするのにその青年が動く気がないものだから結局人が座れるほどの空間が出来ずにいる。しかもその青年が脚を組んで前にズンと出している。駅ごとにどんどん人が乗ってきて立っている僕の脚がとうとう青年の脚にぶつかっているのに、これまた絶対にずらすつもりも引っ込める気色もない。いっそのこと踏むか蹴るかしてやろうかと思ったが、それはそれで周りの迷惑になりそうだった。
 繰言になるけれど、どうしてあんな無神経になれるのだろうと思う。いや、若者を批判するつもりは毛ほどもない。現実には僕などよりよほど親切で心優しい若者がいっぱいいるのだから。それだけに、時折でっくわすこういう奴にすぐ僕は腹を立ててしまう。怒ったってしょうがないのだけど。「なんでこいつらは」という考え方も、冷静になれば随分と不遜だ。