映画『リトル・チルドレン』

子役もうまいなあ

 なんとなく気になって帰りにふらりと。今日から公開だったんですね。
 タイトルのリトル・チルドレンとは大人になりきれない大人たちのこと。典型的なアメリカ郊外の街の閉塞感を描いているのだろうけれど、登場人物の現実に対する満たされない思いや情けない部分がものすごくリアルで、きっとどんな人が見ても身につまされる部分が多々あるのだと思う。単なる不倫ものと一線を画しているのはやはり保釈された性犯罪者のロニーと彼を執拗に責めることによって自身の過去を見ないようにしている元警官のラリー、この二人の存在に拠るところが大きいのだろう。彼ら二人とも単純に責めるべき人間ではないし、逆に「自分はひとと違う、もっと別の人生があったはず」と思っている人たちだってひと皮剥けば罪深いものを抱えていることが露呈されていく。ひさしぶりに上質な人間描写と演技とを見た、という満足感に浸ることができる。
 ただ結末はテレビドラマ並みに安直。現実は絶対にあんなに都合よく収まりはしない。寓話だよ、と言われるかもしれないが、それまでがリアルなだけに・・・・。どうせなら『マグノリア』みたいなとんでもないことが起これば、なんでもアリなそれこそ「寓話」として観る者も引っ張り込まれてしまうだろうけれど。残念なのはそこだけ。これを差し引いても、観る価値はあると思います。娯楽大作もいいですが、こういう作品が日本で儲かってくれると、ひいては日本映画の復権というのも信じたくなりますよ。