映画『ユメ十夜』

ぶっ飛び第十夜

 こちらは発売されたDVDで観ました。劇場公開された時は、気づいた時には大阪での単館上映が終わってしまってました。で、このDVDが出るのを楽しみにしてたんです。
 まずは原作を読み返してから観ました。当然「当たり・ハズレ」はあります。それも好みによって違うでしょう。また結構原作に忠実なものから原作は「きっかけ」程度で全然違うものになっているケースもありました。そういうことは全然構わないと思うのですが、やはり短時間の勝負で作品世界がちゃんと語りきれてないのはダメですね。第一夜の何故か百輭先生の話になってる、実相寺節全開の映像世界なんかは楽しめました。二夜、三夜などはかなり原作に忠実。三夜の子を負うて歩く話などどうしてもかつて見た深夜テレビ「文学ト云フコト」を思い出してしまいますが。四夜、五夜はピンとこなかったですね。六夜は面白かった! 画面は白黒ながらやたらノリノリで、ネット語(例の「萌え」とか「キタ〜!」とかonzマークとか)を薬味に効かせて笑わせてくれます。七夜はアニメーションで、天野喜孝の絵で展開されるのは美しいのだけど、原作に忠実なのか不忠なのか微妙なストーリーは個人的にはもうひとつ。八夜も僕にはつまらなかった。藤岡弘、漱石というのもありえないキャスティングですよね。もちろん狙ってのことなんでしょうが、僕にはウケなかった。九夜は良かったですよ。贔屓の緒川たまきが出てたから? そうかも。十夜はもともと原作からしてブッ飛んだエピソードで、更にそれをわるノリしてやっちゃった。このバカぶりは好きです。プロローグとエピローグは、一夜ともシンクロして、結構気が利いてましたね。以上あくまで個人的な好みの範囲内で放言しました。
 こういうマイナーなプロジェクトがちゃんと作品化されるのは嬉しいです。ここ最近は邦画復権と言われてますがごく一部の売れ線企画優先の作品が、特に「映画を堪能したい」という訳でもない客層を呼んでるだけで決して内容が伴ってる訳ではないと感じているのですが、本作のようなものを見ると全体に映画そのものが作り易くなった現状もちゃんとプラス面があるなあ、と感じました。

☆ 明日より旅行に行きます。次の更新は戻ってからになるかもしれません。