事前指導

討ち入り装束

 今週木曜日に文楽鑑賞会があります。2年生対象の例年の行事。必ず事前指導というのをしますが今年度は当該学年の担任ということで僕が担当です。数十人単位の授業ならまだしも、学年全体を相手にこういう生徒が興味を全く持たない話をしないといけないというのはものすごい気の重い仕事なんですね。先週末あたりから「どうしよ〜」の連発でした。土日も潰してプリント作ったんですが、これは僕が大学卒業すぐに作ったものの改訂版です。とてもじゃないが当時のものをそのままでは使う気になれなかったので。
 今回の演目は『仮名手本忠臣蔵』です。実はこれ専門なんです。専門と言えるほどのものは一切ないのですが、大学時代ゼミで何したかという意味ではこれなんです。ゼミでは近松の『心中天の網島』の改作を原典と比較していましたが、そのゼミの師匠の講読で『仮名手本忠臣蔵』は聴講も含めると3年連続して受講しました。その師匠から受けた授業から、自慢ではないですが他では聞けない話をする自信が僕にはあります。だから授業でもこの文楽鑑賞を機に「日本古典芸能史」という話をします。しかし全体指導となると、どの程度まで話せるのやら。生徒は、『忠臣蔵』なんて言葉を聞いたこともありません。これはもうハッキリと、誰ひとり知りませんね。そんな状況で、この複雑な物語の魅力をどこまで絞って話せるか。直前まで話の筋道を悩んでいました。妻にまで「敵討ちや義理人情を描いた作品が、最近売れたドラマか何かでなかったかな」なんて訊いたりして。で、すれ違いの悲劇ということで『華麗なる一族』は少し話題にすることにしました。話の「つかみ」は映画『300』です。多勢に無勢のヒロイズム、そして史実を基にした物語、という共通点から。担任の先生総動員で「人間浄瑠璃実演」とかいろいろ考えてやってみました。果たしてどこまで生徒に伝わったか。週末を費やして作ったプリントはあくまで参考資料。今日の話では触れず、配っただけです。きっと読んだ子がいたとして4〜5人でしょう。それでもいいんです。
 当日、楽しみです。僕はね。生徒は・・・・休まず来てくれれば御の字です。