昨日の話に続きが

道行

 文楽の事前指導の折に、寝てもかまわん、という意のことを言ったんです。それを生徒がある先生に喋ったら、「ありえへん」ってえらい怒ってたって。そりゃそうでしょうね。また熱血溢れる先生ですし、去年度まで担任されてた。つまり二年前に文楽鑑賞行ってるんです。怒るのも当たり前。でも、そうなんだよなあ。文楽行って寝るも良し、という話ね。
 僕自身学生時代、行っては居眠りしてました。あの義太夫節。三味線の音色。少々慣れたって眠くなります。気持ちいいんです。ある意味日本文化の贅沢の粋、ではないのかな。何遍寝たか、やで、と言われたものです。場数を踏んで、判るようになってくるもんなんですね。ましてや生徒は真剣に見てたって訳はわからないです。そのために事前指導するんで、何人かでも「先生の話聞いてたからわかった」「おもしろかった」と言って貰えるよう頑張ってるんですが、そういう真面目な子に「頑張ってたのに寝てしまった」と罪悪感持って欲しくないんです。
 もちろん、最初っから真面目に見る気のない奴がこの言葉を錦の御旗に堂々と寝にかかるのは許しませんよ。ましてヘッドフォンつけて音楽なんか聴いてでもいようもんなら、問答無用で殴ります。それはそのように生徒にも申し上げています。でも子どものことですから、都合のいいように喋ったのでしょうね。聞いた先生がご立腹なさるのはもっともな話です。でもね、ここだけの話。付き添いの先生も結構多くの方が文楽なんて、と思ってますよね。うとうとと船漕いでらっしゃる方も多い。いや、揶揄なんて全然してません。だから眠くなって当然なんですって。カタイこと言わずに心地よく浸りましょうよ。ねえ。