初めての蒸留所見学

並ぶポットスチル


 サントリーの山崎蒸留所へ行ってきた。紫さんから誘って頂いた。何人かにお声掛けしたがなかなかご都合があわず、最終的には紫さん馴染みのバー「クロスファイアポイント」のマスター、TADさんと三人で行くことになった。僕はTADさんとは初対面。
 山崎蒸留所は、大学時代通学の車窓から毎日眺めていた。ウィスキーを飲み始めたのは大学生の頃だったが、あの頃ここに来るということは思いつきもしなかった。自分にとって「第二次ウィスキー・ブーム」の今、楽しみで楽しみで心待ちにしたのが今回のツアーだった。
 紫さん行きつけのお店の方を通して酒屋タカムラさんの紹介というかたちで申し込んだとのこと。僕はタカムラはしょっちゅう行っているが、大きなお店ゆえたぶん店主の方は拝見してないと思う。それはともかく。阪急の大山崎駅を降りると、なんとも昔の街道の面影を色濃く残した町並みである。すぐ目の前に山並みが迫っている。蒸留所創設当時からは激変したのだろうけれど、さすが蒸留所の建つ町並みの風情だと思った。すぐに大きな建物が見えてくる。踏み切り越しに古いポットスチルのオブジェを見出すと、もう興奮してくる。受付に行ってみると、申込みが遅く間に合わなかったと思っていたテイスティングセミナーにも参加できるようにしていただいていてまず感激する。このセミナー、パワーポイントのスライドで丁寧な解説を伺いながらいろいろと試飲させてもらえる。目の前には、山崎、白州、マッカランボウモアのそれぞれ12年が並んでいる。山崎と白州はこうして並べて飲んでみるとその違いがよくわかって大変面白い。個人的には白州が大変気に入った。トワイスアップで飲み比べ、山崎については水割りとハイボールでも飲んでみる。ここの仕込み水で作ったというソーダ水は柔らかく、敬遠していたこの飲み方も、このモルトとこのソーダとの組み合わせなら悪くないという気がしてくる。白州はストレートのままの方がいいな。
 この調子で書いてるととんでもない長さになるな。少し端折って。
 次にお待たせ、製造ラインの見学。ウィスキーの製造過程は解っているけれど、やはり実際のポットスチルなど目の前にすると感動もひとしお。こんなにいろんな形のポットスチルを使い分けてるんですね。貯蔵庫も興味深かった。空調などで温度調節など一切してないんですね。日本の蒸留所で最南端に当たるこの辺りだと、夏には相当暑くなると思うけれど。それも含めて「この地ならでは」の味を良しとしているのですね。三人それぞれ自分の生まれた年蒸留の樽の前で記念撮影。実はTADさんと僕とは同じ1968年生まれ。一緒に写真を撮り、いい記念になりました。
 最後、「ウィスキー館」では時間が残り少なくて膨大なモルトサンプルの数々をゆっくり見られなかったですが、ここも樽やポットスチルのデザインを生かした面白いデザインを楽しめました。もちろんショップで買い物もしましたが、あったらいいのになと思っていたミズナラ樽のシングルモルトなどさすがにありませんでした(あったとしてもものすごい高価だったろうけど)。白州の18年も前々から飲んでみたいと思っていたのでちっさいボトルがないかなと思っていたのですがこれも甘かった。第一、ここは山崎蒸留所だっつうの。結局12年もの飲み比べセット(命名、僕)としました。山崎12年ミニボトルの蒸留所限定ラベル。白州12年の180ミリボトル。そして蒸留所限定の樽出原酒12年シェリー樽。並べて飲むのが楽しみです。
 TADさんはこれからお仕事ということで(気持ちよく遊んで飲んだあとのお仕事、本当にお疲れ様です・・・・)、帰路十三でお別れしました。お知り合いになれてよかった。お店、行かなきゃな! 紫さんにはその後十三の馴染みのバーに連れてってもらうことになってたのですが、心積もりされてたお店がなんとお休み! 不定休らしいんですが。その他のお店も日曜なので軒並みお休み。あと一軒は開店が遅い。僕は晩飯には帰らなければならないので・・・・残念ながらこの日は十三ツアーは断念。梅田に出て、日曜もやっているAUGASUTAに行きました。ここで白州18年を飲んでやろうと思ったらなんと品切れ中。ダメな時というのはこんなもんです。で、僕はブルイックラディの黒瓶というやつを、紫さんはラフロイグシェリー樽熟成というキングスバリーのボトルを飲みました。ラフロイグシェリーというのは面白いですね。キングスバリーのボトルなので飲みやすかったですが(ちゃっかりひとくち頂いた)。僕の飲んだブルイックラディは、度数ほどのきつさを感じない程よい「煙さ」。しっかりした熟成感が楽しめます。僕はもう一杯、レアモルトシリーズの今はなき蒸留所ノース・ポートを飲みましたがこれが大変気に入りました! 「旨い」としか言わない僕に紫さんはもうちょっといろいろと表現のしかたがないのかと呆れていましたが、どうも僕は味を言葉で表現するのが苦手です(おい、国語の教員!)。すこし前ネットでいくつか古い蒸留所のモルトを安く出していたときこのノース・ポートもどうしようかと迷ったのですが、そのときは別のものを買っていました。惜しいことをしたかな。
 恐ろしく長い文章になりましたが、とにかくまる一日ウィスキー三昧。楽しかった。もっといろんな蒸留所にも行ってみたいですね。山崎は案内・解説してくださったスタッフのどなたも上品で洗練されていて大変気持ちよく見学できましたよ。