鬼になる

赤鬼

 担当教科で二人単位不認定出しました。うちひとりが他にも多数の不認定科目を出して4年目が決定しました。判りにくいと思うのですがウチは単位制なので留年はないんです。ただし7単位以上落とすと3年では卒業できなくなる。欠点になった生徒に、僕は課題も出しません。即不認定です。他の先生は皆さんいろいろと課題を出してあげていますが、僕はあれは好きではありません。これまで授業中にも散々言ってきました。授業も受けない、課題も取り組まない、テストの点もとらない。だいたい僕のテストは、どこか一箇所でもやれるところ的絞って勉強すれば欠点は絶対取らないように作ってあります。要は一切勉強してないというだけのこと。再三の注意・呼びかけにもかかわらず一年間に亘るぐうたらを、少々しんどいとは言えいっときの課題でチャラにしてしまうなど、真面目にやってる人間に失礼な話だ。
 まあそんな子ですから、親切に課題出してチャンスもらった科目も次々無にして行く訳です。同情の余地なんてこれっぽっちもない。
 ところが、これははっきり言って本校のシステムの汚点だと思いますが、「救済措置」というのがある。8〜13単位の不認定を出した子には、もう一度補講を受けて追認のチャンスが与えられるのです。何がおかしいかというと2点あって、①一年間の指導の結果として「アカン」と言うとるねん。どんな根拠があってもう一度チャンスをやれ、などと言われねばならないか。②不認定7単位以下の生徒には与えられないチャンスを、どうして更にぐうたらな結果を出した生徒には与えてやるのか。ワケワカラン。ま、過去にいろいろと忌まわしい経過があったようですが。
 汚点だろうが欠陥だろうが、制度として存在し会議の場で賛成多数で承認されることですから、決まれば受けます。でも当然「追認」を前提として形だけの補講をする訳にはいきません。前述の通り、一年間の怠惰の清算をし、「追認」にふさわしい努力を認めた上でなければ、本人には勿論、他の生徒に対しても百害あって一利なしの補講にしかなりません。しかし、本音を言ってしまえば後味が悪いからやる以上は合格させたい。させたいが生ぬるいことをする訳にはいかない。今、どの程度の課題を与えるか悩んでいます。考えているものはとてつもなく厳しいものです。クリアしてくれるかどうかは、正直わかりません。いいです。同僚にさえ「鬼か」と言われる補講をするつもりでいます。
 ただ、昨今の世情、こういう教員はいつ家庭からのクレームに晒されるかわかりません。筋は通しているつもりですが。クレームが来たら学校は教員を守ってはくれませんからね。「教育委員会に言うぞ」このひとことで「はいごもっとも」です。ハラを括るに勇気の要る時代になりました。