なぜ想像力が欠落するか

正蔵さんではない。

夏が近づくと、学校で出される読書感想文の課題を当て込んでどこの出版社も文庫本フェアを展開する。集英社から開高健の「知的な痴的な教養講座」という旧書が出ていたので買って読み始めたところだ。その一節に
「活字とビジュアルには、食べるために食べるというのと、味わって食べるというくらいの違いがある。」とあった。無論活字の方が良いのに決まっている。これ、実はセンズリの話なのだが…全てに言い当てていることだろう。過剰に親切で刺激過多なビジュアルに囲まれ活字を楽しむことを忘れてしまえば、当然、じっくりと思考する力も独自の想像をめぐらす力も育つ訳がない。仕事では毎日苦悩の連続である。生徒に言葉が通じていない。極力連中にもわかるように表現を砕く努力をしているが、我々の話すことの、もしかすると半分も理解していないのではなかろうか? 皆さんが思う以上に事態は深刻ですよ。
センズリでもなんでもいい、活字で空想を逞しくする機会を、もっともっと増やせないものかなあ。
まあそんな話だけでなく(そんな話が多いのだけど)、この本は面白いですよ。