長原師の講演

饒舌お父ちゃん

 ナガサワ文具センター主催で、セーラー万年筆のペン職人長原先生親子の講演が開かれた。27〜29日と恒例のペンクリ開催だったのだが、吉宗さんの企画で今回初めて部屋を借りて先生にお話を、ということになった。是非行きたい、と思っていたがなんせ学校がある。吉宗さんには「間に合うようなら行きたい」と申し上げていた。クリニックの方には間に合わなかったが、講演は聴くことができた。少し前NHKの「にんげんドキュメント」でも長原師は取り上げられていて、ますます全国から注目されている。予約せずに飛び入りで座れるのかなと思ったが、なんとか滑り込むことができた。
 期待を裏切らずお父ちゃんの方の話は逸れまくりで時間を見て吉宗さんがメモを投げ込み唐突に話は切り上げざるをえなかった。きっとこういう講演形式より、普段のクリニックでお客と相対しながらのお話の方が向いておられるのだろうが、逸れた話も面白く、先生らしいと堪能できたからよかった。また息子さんの方は的確な進行で質疑応答もして下さり、竹万年筆の竹素材の確保の苦労譚やお客さんの言う「太字で軟らかい」ペン先を是非開発したいという思いなど語って下さった。
 おふたり共クリニックを終えてまだ指先のインク染みもとれぬまま臨まれた講演。やっぱり時間はあっという間。きっとこれから興が乗ろうかというところだったが、翌日のお仕事もあり懇親会などはなくお開き。みなさん名残惜しげに会場を後にされた。
 それにしても、さすがに参加の皆さん、メモは揃って万年筆だ。普段周りから異様に見える「万年筆に革の表紙のモールスキンノート」が、ここでは見回すと当たり前状態だったのがおかしかった。モールスキンのカバーにしろ4本差しのペンケースにしろ、よう考えたらみんなナガサワの商品だった。一種のオタク集団ですな。なんて言うと皆さん嫌がられるだろうが。


 おなかが空いたので、帰りに堂賀に寄って食べて帰った。湯葉巻きにだし巻きたまご、そしてせいろ。灘太子も一合いただいた。この日の締めにふさわしい。余韻もしっかり味わって帰りました。