かわいい

 ガキ共本当にかわいくてしょうがないという実感を、今更ながら噛み締めるときというのがある。最近それが頻発している。
 教員という生物が、どんなことを嬉しがるかという実例あれこれ。過日の調理実習の料理をいただく、なんてのもそうなんですが。


① 体育祭の応援団練習で・・・・ということを先日来しばしば書いているが、こないだ実は外部の方から苦情電話があった。生徒が帰宅途中でトラブったらしい。翌朝の朝礼で全クラス一斉にそのことを伝えて当事者は名乗り出るよう呼びかけた。が、そんなんで出て来るとは実はこっちも思ってなかった。生指では当事者の割り出しは可能、と考えていたが、教頭が「そこまでするな」と止めた模様(この新しい教頭、結構好き)。お昼になってウチのクラスの生徒が団長に引き連れられてぞろぞろとやって来た。その時点でわかったけど、「何じゃ?」と別室へ。案の定、トラブル起こしたのは俺んとこの子だった。応援団の評価は練習段階からつけてると生徒会から「吹かれて」いたから絶対申し出ることはないだろうと思っていたので、申し訳ないが叱るより先に褒めてしまいました。自分でも不思議なくらい、頭にはこずに嬉しかった。もちろん言うべきことは言ったし生指にも報告して一緒に怒られたが、何故か生徒の方が「先生ありがとう」と言っていた。ナゾじゃ。
 その後各団団長を集めてウチの団長から報告と侘びをした模様。更に団内でもちゃんと下級生に謝ったみたい。それでいいんだ。ちゃんと筋通せばこんなことで生徒は誰も怒りゃしない。しかし団長、シッカリしてきたなあ。決してリーダータイプの子ではないのだが、生来の素直さ素朴さが全ていい方向に回転しているみたい。役割・責任が子どもを育てるということは先刻承知だが、こう目の当たりにすると本当に嬉しい。

② その応援団、たまに様子見に行くと連中ものすごく喜ぶ。こないだはそっと行ってるのに早速見つかって、「3年1組担任の43210先生が見に来てくれたんで、みんなで337拍子パート披露しましょう!」とやられた。ちょっと失敗してたけど、なかなかカッコ良かった。「特別顧問」かなんかみたいで、くすぐったいくらいの特別待遇だな。


③ 帰路職場の最寄り駅へ向ってチャリこいでいたら突然チェーンが切れた。最初はずれたのかなと思って切り替え器をカチャカチャしてたら、後ろから自転車の生徒が追っかけて来て「先生チェーン切れましたよ」と、その切れたチェーンを拾って来てくれた。生徒は去年夏の補習で接したくらいで、ほとんど喋ったこともないおとなしい男子だった。手が汚れるのに、ありがとう、と受け取って、そこからは自転車押して歩いていたら、暫くするとその男子がまた戻って来る。忘れ物でもしたんかいな、と思ったら、「やっぱりほっといて先に行っちゃうのは悪いと思って」と、駅までの道のり一緒に歩いてくれたのだ。なんて優しいヤツなんだ! こっちが知らないだけで、こういう子がまだまだいるんだなあ。


 ここ数日は、なんかちっちゃなことアレコレでやたらと「こいつらがかわいくてしょうがない」気分が噴き溢れそうな感じ。実はコレ担任3年目現象でもある。お互い気心が通じて来ると、こんな感じになってくるんだよね。担任の役得。こいつらの卒業まで、あと10か月。