映画「セルラー」 「ライフ・イズ・コメディ」

 2月いっぱいで切れてしまう施設利用券があと2枚。これを使いきってしまえるのは今日しかない! ということで、久し振りに映画のハシゴをすることにした。本当は「マシニスト」を観たいのだが、スカイビルの上映館では利用券が効かないのでやむなく後回し。


セルラー
 全然興味なかった(だいたいタイトルが悪いよな)のだが、「意外と面白い拾い物」といったコメントをいくつか読んだので観てみることに。
 確かに。まったく無駄がなく伏線・小道具も効いていて面白い。アイデアの勝利。そして職人技の勝利。
 キム・ベイシンガー(一人息子がいる高校理科教師)がいきなり誘拐される。理由がわからない。おっかない男たちに監禁される。ぶっ壊された電話を必死で修理してたら偶然ナンパなお兄ちゃんのケータイに繋がる。電話越しに女が脅されてるリアルな様子を聞いてしまい、兄ちゃん奔走せざるをえなくなる・・・・。
 伝統的な「巻き込まれ型スリラー」の最新版ですな。どうなるんだ? と、ずっとハラハラさせられる。田舎警官のウイリアム・H・メイシーがカッコいい! いや全体に配役ウマいよ! 娯楽映画のお手本みたいな作品。でも1回観たらもういい。だって展開全部知っちゃったもん。ということで、映画館の迫力のある画面で是非どうぞ。


「ライフ・イズ・コメディ!/ピーター・セラーズの愛し方」
 前に予告編を見てビックリした! 主役のひと、ピーター・セラーズにそっくりやん! 誰? あ〜、ジェフリー・ラッシュ! なるほど! ・・・・ということで、公開されたら観てやろうと待ち構えておりましたのよん。
 ピーター・セラーズの作品をそうそう観てきた訳じゃないが、観たものは全部気に入っている。「博士の異常な愛情・・・・」「天才悪魔フー・マンチュー」「カジノ・ロワイヤル」「ピンクの豹」「暗闇でドッキリ」・・・・大昔テレビでねぼけながら見てたのもあるけど。ピンク・パンサー・シリーズは全部観ときたいし、「名探偵登場」と「チャンス」も観たいな。ということで「ピンク・パンサーBOX」買っちゃいました(アホ)。本はないのか本は。
 で映画なんですが、とにかくジェフリー・ラッシュお疲れさん! と言いたい。こりゃ本当に大変だったろう。セラーズ本人はもちろん彼が演じてきた役柄の数々、更には彼の周りにいた人物たちにまで扮して語り続けるセラーズの人生。よくビョーキにならずに済んだなあ。ラッシュはちょっとオーバー・アクトなところがあって嫌う人もいると思うが、こればっかりは彼なくしては難しい企画だったろうな。集大成になるんじゃないかな。
 語られるのはセラーズの知られざる一面。映画で演じた役柄以上にメタメタなのだが、「え〜、そうやったん?」というよりは「なるほどなあ」。すごくよくわかる気がした。劇中語られる「実は自分というものがなかった」という人物観は正確な表現ではないと思うが、その辺の複雑かつ微妙なニュアンスは映画全体が雄弁に語っている。
 僕は「何やってもおんなじ」という役者は否定しない。それはそれで立派に個性であり、上手に使えば良いので大切な人材だと思う。ただ本当にセラーズのような人は役者として生き続けるしかなかったんだな、この人生しかなかったんだな、と痛感せずにはおられない。俳優がみんなこんな人だったら辛すぎるよね。というか、そうだったら映画にゃしないか・・・・