修学旅行 3日目

石たべない?

 この日も午前にゲレンデに出て少しまわって見た。やっぱり上達早いなあ。それでも当然各班でこぼれ落ちてしまう子はおり、ここまで体調不良で参加できずにいた子も含めて新チームを作り、スキーの達人Ⅰさんが面倒を見ることになる。滑れるが一切止まれない奴、雪の中で「犬神家」をやるのが得意な奴・・・・個性派揃いである。
 我儘なやつも出始めた。まるっきりピンピンしてるクセに「しんどいんやからしゃあないやろ!」と逆ギレ開き直り戦法で閉校式までもずっとロビーで遊んでたのは、開校式では生徒代表挨拶をした筈の修学旅行委員長でした。ちなみに彼女はレクの仕事は一切やってません。やれやれ。
 そして全体レクリエーション本番。なぜかその前の夕食片付けからウチのクラスの委員さんたちえらい張り切ってみんなの食器までお片づけ。レクでは前に出てクラスに整列指示。総元締めMはバッチリメイクで司会名トーク。熱がひどくて昼には病院にまで行っていたOも担当ゲームで明るくルール説明。前日まで準備ゼロだった伝言ゲームもちゃんとゆうべ指示した通りの大道具を準備完了。大したもんだ! 僕は後ろからビデオ撮影をしていたが、最後担任会有志として例の氣志團出演があり、どうするべえ? と思っていた。ら、クラスの男子Sが寄ってきて「ビデオおもろそうやん、代わってや」と言い出した。助かった!
 こっそり抜け出し舞台袖に位置する部屋の入り口に行くとそこが教員やらJTBさんやらホテルの方々の観覧席になっていた。みんなにこにこ見守る。
 ゲームが終わり、有志の歌やらダンスやらが始まる。我々も着替えてスタンバイ。衣装を着てしまうとその姿を見られないために、袖から顔を出すことができない。男子チームのダンスがどんな感じなのかものすごく見たいのだが、しょうがない。そして有志ラストとして登場、異様なアホ乗りの中無事終了。ウケたウケた。
 続いてエンディング。修学旅行期間中誕生日だった子に内緒でプレゼントを用意してて、怖い先生が呼び出してビビらせといて渡す趣向を委員の子らと考えてたのだが、何故だかものすごくダッシュでいいかげんに済ませてしまった。怖い先生役の体育の先生も出番がなく拍子抜け。なんのことはない、Y先生仕込みの特別演出のために急いだのだ。それは何かと言うと、舞台にホテルの方々やJTB添乗員さんたちを引っ張り出し、感謝の辞を述べさせてみんなで囲んで歌うというもの。なるほどそういう趣向か。予定時間をオーバーしてるもんな、そりゃ急ぐはずだ。女性添乗員さんは嬉しくて泣き出す。
 大幅に遅れが生じた結果当然のこととして就寝点呼も遅れ、とうとう我がクラスで行方不明者が出る。どこぞの部屋に忍び込んでしまったのだ。これの探索のために全室再点呼となり、怒られるほどでもない男子の部屋移動者が大量に指導されるわ、あるフロアでは幽霊出現騒ぎで荒れるわ(実はイタズラ者のただのピンポンダッシュ)、その騒ぎで行方をくらました奴が出るに出られなくなった挙句ちゃちなウソをついて教師を他の場所に誘導しようとしたがために先生の逆鱗に触れ、別室で「特別指導じゃ! 親に連絡じゃ! 明日のディズニーは無しじゃ!」ととっても大事になってしまった。お陰様で、せんでもいい保護者連絡までやり、事情聴取をし、反省文を書かせ、寝る時間がなくなり風呂に入ることもできなくなってしまった。フテこい奴にはいい薬になったが、巻き込まれた真面目な子はかわいそうに、一晩寝られずに泣き明かすぞこりゃ。
 まあこういう「騒動」はつきものだ。生徒は意識はしてないだろうが、こういう一種の「イベント」をある意味欲している。「あんなこともあったが、かえって仲良くなれた」というところに辿り着くのだから、これも修学旅行の一部分だ。
 しかし眠い。たまらなく眠い。
あ、写真はキャプテン(学年主任)が持って来られた「石にしか見えないチョコ」。これが「本部」では大ヒット。ヒマになると「石ください」といってこれをポリポリ食べておりました。