おもろすぎるやろ

所持金129円

レンチャンでペンクリニックへ。おりえ称して「ペンクリ」。
おりえは今日まで東京にいた。これに間に合うように早くに発ってくれたのだ。帰阪したその足でナガサワへ。
ところが、新幹線車内からのメールによると、所持金が129円しかないと。それじゃ三宮までの切符買えんやろ! 梅田待ち合わせにしてメシ食ってから行こうと言うのに、なにがなんでもこれで三宮へ行くと言って聞かない。なんとかするって、なんともならんやろ。と思ったが、おもろいので好きにさせた。
改札の外で待っていると、・・・・来た来た。どうするつもりか。きっと駅員さんの所へ行ってなんか言うぞ、と思ったら、そのまま券を自動改札へ。その時の「どうなるかなぁ〜」という顔! たまらんね。あ、当然ピンポン鳴りました。外からJスルーカード渡してやったんですが。気分的には、プリンセス天光(字が違うよな、たぶん)みたいに知らん間に脱出してみて欲しかったんですが。おもろすぎるやろ、しかしこの子は。


クリニックでは、おりえ持参のエリーゼの万年筆も見事スムーズに調整してもらえました。目の前でまず書いてみせるまでもなく、ペン先見ただけで書き癖を読んでしまわれる長原老師、恐るべし。見ると相当キツい書き癖の持ち主なんですが。
実はこのペンは製造中止になってしまってて、潰れてしまったらそれまでだ。それを彼女はすごく気にしてる。大切な人からの贈り物なので、この一本を大切にいつまでも使いたいという思いが強い。「どんどん書きなさい」と老師。心強いお言葉である。
僕はと言えば、やはり昨日見た極細が忘れられず、見せてもらうことにする。なんとこいつは店頭販売商品ではないらしい。こういうクリニックの時に目の前で調整してくれるだけだと言う。普通の中字のペン先から希望に合わせて極細に削り出す、息子さんのオリジナル。アメリカのペンショーに参加したとき向こうの人に作品を「細さもうひとつ」みたいなことを言われて燃え、その人をギャフンと言わせる細さにまで削り出して見せたのがことの始まりとか。やつぱりプロはそうでなくちゃ。嬉しいことに特注にもかかわらず普通のペンの価格でしてくださる、それも軸は好きなものを選んでいい、というのだ。一番安い軸にすればそれだけの値段。特別な作家ものを選べばそれはそれなりの値段。僕は昨日気になってた朱の漆塗りの軸をお願いする。それは古いタイプの作品で、もう作ってないからここで売ってしまつたらそれまでだという。吉宗さんが横から「それ、欲しがってた人がいるんですがねえ・・・・しょうがないですね」と。うまいな、にいちゃん。
最後には横で待ってたおりえが調整の機械を触らせてくれと言い出す。何言うんじゃと思ったら息子さんいとも簡単に「どうぞどうぞ」。吉宗さん爆笑している。さすがにこんな客はおらんだろう。お陰で僕もさわらせてもらった。わざわざグラインダー部分を外してくださった。そしたら3段階あるうちの柔らかい方二つは砥石ではなくラバーだった。びっくり! 更にびっくり発言。「私も削っててペン先見えてないんですよ」そりゃそうだ考えてみれば。だってミクロンの世界だもの。でも光の反射具合で測っておられるのだって。やつぱ匠やなあ・・・・。


ああおもろかった。本屋でいいと言う漫画を教えてもらったし、是非読んでみたい作家も紹介してくれた。129円で三宮まで来た子デス。