またまた昨日の日記 下見旅行の後・東京

ウーゴ&エンツォの靴

今朝目覚めたら全身がだるかった。くたびれたなあ。やっぱ歳か・・・・。しかしめいっぱい動きまわったもんな。それでもだいぶ行程カットしたんだけど。やっぱり夕方までとなると限度がありますね。東京は広い。ということで昨日の日記。題して「オタク紀行を極める」。

まずはホテルが銀座にあるので見ておきたい店があった。いや欲を言えばキリがないのだが、ターゲットは今回「ワールド・フットウェア・ギャラリー」という靴屋に絞った。ウーゴ&エンツォというフランスのメーカーの靴が目当てである。こっちではほとんど扱っていなくて、先日神戸のビームスと高架下でちょっと目撃したが、欲しいタイプのものではなかった。雑誌などによると、これを扱っているおおもとがこの「W.F.G」であるということがわかったから、是非寄りたいと思っていた。神宮前の本店に行きたいが、ちょっと行程に余裕がない。あとで青山に行くのでその時足を延ばせたら、とは思うが・・・・。
銀座店は小さな店だった。いっかい見過ごした。斜め向かいに銀座の銀座ワシントンがあり、デカさだけでは見劣りする。そこが気に入った。入ってみると、あるわあるわ、写真しか見たことのないような各国の名品が、狭い店内にズラリ、である。目的のウーゴ&エンツォも勿論。ここの靴は何と言ってもフォルムが個性的なのだ。写真ではわかりにくいかもしれない。一番の特徴は、まるでウエストのくびれみたいに、ソールがグッと、アッパーの方までめくれあがっている処。これ、「オパンケ製法」と言うらしい。珍しいでしょ? 革の色も珍しくて、写真ではただ茶色に見えるかもしれないが、かなり赤っぽいのだ。カジュアルにもフォーマルにもあわせられそうだ。2足フィッティングして合う方を購入。この形だから幅広の僕の足が入るかどうかが不安だった。実はこの後買ったばかりのこの靴に履き替えて後の大量に歩く行程に臨んだのだが、確かに一日歩くと少ししんどいものがあった。まあこんなにズンズン一日中歩きまわることもそうないのだが、やはり万年筆と同じで、いくら店頭で入念に試したつもりでも、使い込んでみないとわからないもんなんですね。まあ革靴の場合最初はどうしてもキツくて、履き込むうちにインナーソールが沈んできて足に合ってくるのだけれど。
さて銀座での買い物はそれだけで切り上げて、早々に上野に向った。この旅行出発直前にあサンのとこの日記で「スターウォーズ・サイエンス&アート展」というのをやっていると知ったので。実はつい最近まで京都でやっていた模様。全然知らなかった。会場は上野公園にある国立科学博物館。上野に行く時は御徒町に行く時、でしかなかったので上野公園は初めて。前日の車中から桜の花盛りを目撃していたので、ひとり花見としゃれこもう、という思いもあった。のだが・・・・とにかくすげえ人である。特にご老体のバスツアーが何組も! 身動きがとれない! 買い物してきたとはいえまだ早い時間だぜ、おい・・・・。駅からほんのちょっとの距離の博物館にようようのことでたどり着き入館。「うわ、子どもばっか・・・・」と内心入るのを躊躇したくらいだったが、入ってみればやはり古いシリーズの映画、同年輩以上のいかにも好きそうなお方たちが多くおられた。第一作から順に小道具や衣装、模型などが並んでいる。しかし新シリーズになってからは殆どがコンピューターグラフィック処理で映像化されているので、展示されているものの多くは映像を復元したレプリカなのだろう。そういうのって、やはり感慨がないよなあ。昔はミニチュアでひとコマずつ撮影したんでしょう。そういう小道具を見ると涙が出ます。あのライトセイバー、欲しいなあ・・・・。
あとの行程が気になるのであまりじっくりとも見られずひとまわり。それでも懐かしの世界を堪能して上野を後にした。一旦東京駅に戻る。そこから八重洲方向に歩いて蕎麦屋「三日月」へ。前回来訪時に調べて行った店で、気に入ったので今日の早い昼食はまたここだ。(ひとりになると途端に蕎麦道邁進である。麺喰い同盟会員の鑑。)ところが! 開いてないではないか! 土曜は休業か? はたまた時間が少し早かったか? しかたない、このまま地下鉄で南青山へ行き、そっちで蕎麦を食おう(やっぱり蕎麦なんかい)。ところがここで地下鉄の駅を間違え、余計にうろうろと歩いてしまう。やはり方向オンチだ。前回ほど入念に行程を練って来られなかったのが痛かったか・・・・。まあそれでも正午には青山着。まず昼食。以前入った蕎麦屋「増田」は、実は間違って入った店であった。本当はその隣の「古道」に入るつもりだったのだ。二件は並んでいて、階段を下りると「増田」登ると「古道」。「古道」の方の玄関がなんだか厨房裏のように見えたので昨年来た時は間違ってしまったのだ。ということで今回はリベンジ。間違えないように階段を上へ。おろし蕎麦、なかなか歯ごたえよく美味しかった。でも松林の方が上だな、やっぱり。
で、食ったら御馴染み「書斎館」へ(途中鞄の「イサブロー」にも寄るが、あまりに高すぎて早々に退散)。書斎館はテレビ、雑誌でも度々紹介されている有名なステーショナリー店である。とにかくたくさん珍しいものを置いているし、店の雰囲気が居心地がいいのだ。いちどホームページを覗いてみてください。http://www.shosaikan.co.jp/
今回は高価な買い物をするつもりはなかった。珍しいものを拝んで目の保養。そして進物用のボールペンを1本買って帰るつもり。見たらいろいろと心を動かされるが、そこはじっと我慢である。目的の買い物を済ませたのだが、どうしても気になるモノがある。そこで。「ずうずうしいんですけど、コレ、見せてもらうだけでもいいですか?」お姉さん、気持ちよく「どうぞどうぞ」。そしてご大層な大理石のテーブルへ。何を見つけたかというと、セーラーの匠長原師匠の新作である。それもこれまで見てきた竹万年筆などとは明らかに違うイメージの黒檀軸である。
「試し書きはしていただけないんですが・・・・」「ああ、それはそうでしょ、勿論、勿論」
まあそりゃそうだろう。20万もする品物を、最初から買わないと言っている客相手にインク通させてくれる店もあるまい。持たせてもらい、キャップを外すと、なんとペン先がクロスポイントでコンコルドになっとる! ごめんなさい、わけわからんですよね。クロスポイントもコンコルドも、長原先生独自のもので、世界どこ行ったって見られない無茶なペン先である。クロスポイントというのは、要するにペン先を二枚重ねて研いである。そうすると一枚では絶対無理な超極太の線が出てなおかつ滑りがよくなるのだ。一方コンコルドというのはペン先の先の先を(打ち間違いじゃありません)「ぐにっ」と下に曲げてしまっている。これも暴挙だが、こうすると逆にとんでもなく細い線が出るようになるのだ。アイデアと腕前。両方の勝利である。どっちのペン先も持ってますんで、是非いちど見てやって下さい。
ところが、だ。片や「極太」になる製法。片や「極細」になる製法。このふたつを同居させたペン先って、一体線が太くなるのか細くなるのか・・・・。書きてえ! 書いてこの目と手で確かめてえ! 店内におられてもうお一人のお姉さんも寄ってこられた。
「これ、ついこないだ入ったのよね」「そうそう」「書いてみた?」「ううん、まだなの」なんて会話が始まる。そりゃそうか。店員だって興味深々であるわなあ。「それなら是非一度特権行使でお書きになってみるべきですよ。一体どんな線が書けるんでしょうねえ」客が言う台詞ではない。しかしお姉さんたちも真剣である。「そうよねえ・・・・」ま、どっちみち僕は書くことはできない。持たせてもらっただけで満足である。ここも退散しよう。
長くなったなあ! でもまだまだなんです。一旦切ります。