映画二題

『ゴースト・イン・ザ・シェル』観ました
 映像ホントすごいですね。よくこれを実写化したもんだと思います。よくできていた、と思うのですが。
 僕は『攻殻機動隊』は原作マンガから入り、一巻しか読んでいませんでしたがものすごく感銘を受けました。で押井版映画を観てまた感銘を受けた。共通したテーマ性もあり、ストーリー的にはほぼ忠実、でありながら全くテイストが違う! ここがまた面白いですね。『イノセント』もすごく好きです。
 今回実写化ということで、公開前から結構なバッシングがあったと聞きます。わかるんですよ、原作の大ファンであるほどそういう気持ちになるだろう、とは。だからいっつも言ってますが自分が見なきゃいいだけの話でね、観る前から作品否定しなくてもいいだろう、とは思います。僕もあしたのジョールパン三世は結局実写版観てないです。最初からケチつける前提、になってしまうのがわかってたんで。別物として違いが楽しめるなら観ればいいんで、今回もそうやってちゃんと楽しめる作品にはなってたと思いますよ。

 (ここから若干ネタバレあり)「自分とは?」という問いかけが、単に記憶を取り戻すという話に収まっていては確かに軽くなったなとは思います。でもラストシーンが押井版のオープニングとも取れる。それでいいのでは。
 で、つい懐かしくなって押井版『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』観なおしました。あ、やっぱり圧倒的にこっちが面白い…
 まだ読んでいない原作の残り二冊と、他のアニメシリーズも観てみたくなってしまった。これはやばい。


『ムーンライト』
 アカデミー賞作品賞受賞作、という看板がむしろ邪魔に思えるほど、繊細で奥ゆかしい、いい作品だったと思います。
 喧伝されている、オール黒人映画だとか、ゲイを扱った作品だとか、確かにそれらは重要な要素ではあるのだけど、一切それらを声高に語らない、純粋にひとりの青年のこころを描いた、それが誰の心にも響くものになった作品だと思います。自分探しでもありますが、寛容の心を描いたラブストーリーでもある。じっくりと何度も味わいたい作品だと思います。
 低予算だそうですが、映像も素晴らしい。手の込んだ加工を施しているとのことで、この手法が今後アホほどはやるだろうという話も聞きます。タイトルの言葉も噛みしめつつ、映像も音楽もじっくり味わえる。
 あ、そうだ。ナオミ・ハリス、すごい役者ですね! と改めて思った映画でもありました。