ターミネーター新作

 新機動/ジェニシスと題された最新作。新作としては6年ぶりですが、アーノルド・シュワルツェネッガー出演作としては12年ぶり。ファンが信望するキャメロン監督作品からだと16年ぶり、といった感じです。
 実は一連の新作の中で、『ターミネーター』が一番期待していませんでした。だってさすがにシュワルツネッガーが今更ターミネーター演じるなんて無理がある、と思ったからです。
 ジェームズ・キャメロンが監督した1・2作目は大変評判がよろしいが、3・4作は大変よろしくないです。僕は意外と3も4も好きなんですが。3と4が批判される部分があるのも理解はします。でもちょっと穿った見方をすると、少しキャメロン神話に毒されてないかな、とも思う。キャメロン監督作じゃないからダメ、と、最初から決めてかかっている節はないか、と。逆に本作は、キャメロン監督作ではないですが、キャメロンが絶賛している、という前評判が盛んに喧伝されていました。「じゃあ面白い筈だ」となってませんかね? 加えて、4作目にはシュワルツネッガーが出演していませんでした。(CGで若い頃の彼の顔を合成したT−800が登場しますが一瞬です。その手法は今回も応用されている。)で興収が上がらなかった。やっぱシュワちゃん出さなアカンで、という企画会議の展開が手に取るようです。それで、「骨格は合金でも表皮は生体なので年を取るんだ」という理屈が登場した。いくらなんでも無茶苦茶やろ、と思った訳です。ここまで、見る前までの話ね。
 しかしだんだん情報が入ってくると、面白そうだなとなってくる訳ですよ。新旧シュワちゃん対決か。1作目のシーンが再現され、それが途中から狂っていくのか。…そりゃ見てみたくなるでしょう!
 ということで、結構楽しみました。前半は特に。1・2作目へのオマージュたっぷりの遊び心。年食って味の出てきたシュワちゃん。シリーズのお約束、迫力満点のアクション。
 でも。不満もある。ある人物に起こったこと。その人にそれしたらアカンやろ。と思うのですが。案外これ言ってる人見かけないですが、思いません? 絶対やったらアカンことやと思うのですが。ただ僕が知らんかっただけで、この展開は盛大にネタバレしまくっているそうですね。僕も本編より前、パンフレット買った時点でわかってしまって呆然とした。
 強いて言えばカイル・リース役の人はちょっとキャラが違いすぎるんじゃないか、などとも思いますが、キャスティングについては必ずどこでも「ああでもないこうでもない」と言われるところなんでまあいいです。
 結論としては、いろんな試み・遊びがあっていいと思う派なので基本楽しめましたが、どうせなら4の世界観でそのまま三部作制作して欲しかった、というのが本音です。やっぱり僕は4がだいぶ好きです。
 そうそう、本作、エンドクレジットが始まっても席を立たないように。続編作る意欲満々の仕掛けを見逃すことになります。