『るろうに剣心』二部作

 何の先入観も期待もなく一作目を映画館で観てビックリして、すっかりファンになったクチ。原作は読んだことがない。今度の二部作には大いに期待を寄せていた。
 原作ファンからは概ね不評のよう。前後編合わせて4時間半くらいの尺があるものの、それでも長大な原作世界の多くの要素を削ったり改変したりせねばならなかったようで、そこは原作ファンにはがっかりする要素だったろう。撮ったものの本編に盛り込めなかった場面も多かったと聞く。(だから僕のように、「別物」として楽しめない作品なら最初から見に行くのは止めておけばいいのに、と個人的には思ったりするが。)
 『京都大火編』の方が好評らしいが、個人的には一対多アクションが情報過多で消化しきれないのが「アクションが大味になった」という勘違いを起こさせたか、『伝説の最期編』の方が僕は楽しめた。とにかく圧倒された。
 (おそらく原作の設定や魅力が活かしきれなかったためだろうが)残念ながら四乃森蒼紫は余計な登場人物に見えてしまった。ひとり空気を読めなてない「いらんことしい」のように見えた。が、彼も「ありえたかもしれないもうひとりの剣心の姿」として必要な存在だったのかも、と、後になって考えたりした。
 誰もが認めるのが藤原竜也演じる志々雄真実のすさまじいオーラと存在感。四対一でもまだ強いという壮絶さ! やはり悪役が魅力的だと作品が光るというのは真実らしい。
 続きが見たいという気持ちもなくはないものの、このすさまじさで打ち止めがふさわしい、という気が。僕自身には満悦至極の映画体験だった。