ブラックウィドウ役とは全く違うスカーレット・ヨハンソン2態

『ルーシー』
 リュック・ベッソン監督作品は『フィフス・エレメント』以来。
 『サブウェイ』で魅了され、遡って『最後の男』も含め追っかけた監督。一番好きなのは『グラン・ブルー』。
 でも『フィフス…』を観たとき「もういいや」と思ってしまい、それ以来では初めて気になった本作。
 もし人間の脳が100%機能したらどんなことになるのか?!… という話。突っ込みどころは満載なのもベッソンらしい。そこはいちいち突っ込まず暖かく見守りつつ大いに楽しむ。アクションは新味はないものの楽しめる。脳が開花していくに従って人間らしい感情を失っていくのがヨハンソンの新味を出している。
 意外にも過日観た『トランセンデンス』と共通する問題意識のようなものも感じた(結論は全然違うと思うのだが)。人間がネットワークに繫がって万能化していくことが、幸福なのか否か…。そんなことも少し考えた。

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』
 一方こちらはムチャクチャ不思議な映画。極限まで説明を排し映像で見せるので、正直なんだったのか判然としない。副題で大体は察しがつく、というくらい。そして本作でのヨハンソンこそ、これまでのイメージを一新する。
 表情も乏しい。言葉も少ない。何を考えているのか殆どわからない。
 全裸になったことが話題だが、映像補正もしないふくよか(過ぎる)プロポーションといい、男が下心満たすような脱ぎ方をキッチリ外した見せ方といい、そこが売りとは思えない。
 それでも、えもいえぬ魅力がある(アカン人には絶望的に魅力ないかもしれないが)。
 乏しい感情表現の中でそれでも変化していくヒロイン。漲る緊張感。
 原作があるそうで、それの粗筋を見れば大体「ああ、そういうことなのか」というのは判る。本作は、このわからなさが大きな引力になっている。こういう映画もあっていい。そして、こんなスカーレット・ヨハンソンも。