ワンパターンこそ求められる

 劇場版新作公開に合わせてここ暫くテレビでルパンが放映されてて、妻が気を遣ってくれて今年のテレビスペシャルの「princess of the breeze〜隠された空中都市〜」と過去作の「ルパンvsコナン」を録画しててくれて一緒に見ようと言ってくれたので見てたのです。
 新作テレビスペシャルは、面白いっちゃあ面白いんでしょうが、またまた完全な「カリオストロの城」の二番煎じ(100番煎じ?)で、「お姫様を助けたら、お宝は手に余る代物だった」と、一言で粗筋が片付いてしまうものでした。
 vsコナンも「一体ルパンは何か国のお姫様と同じような約束してんだよ」というくらいなんですが、ところがこちらはいつものパターンであるが故にわくわくできる。全く違う作品同士の競演ですので、それぞれの「お約束の展開」になるほどニヤリとさせられる訳なんですね。「ヨッ! 待ってました!」となる。
 僕みたいなオタク的オールドファンは、たぶん実写版どころか新作アニメでさえ「批判ありき」で見ているところがあって、もう新作作ること自体止めてくれればいいのに、と思ってしまうのですが、そういうコアなファンは数字的には少数派であって、テレビ制作の姿勢としてはより多くのライトファンの要望に応えるべく、自覚的にワンパターンな作品を再生産しているのかもしれません。
 僕はテレビシリーズ2ndからファンになった世代ですけど、好みとしては「原作至上主義・テレビは1st・映画は対クローン。カリオストロは断然の完成度で作品自体は好きだが、あれがルパン的とは思わず。だって宮崎さん、ルパンを終わらせようとして作ったんだもん」というところで、こういう奴はマニアには珍しくなく、先年の「峰不二子という女」やら実験作「red vs green」なんかが好きだったりします。でもこれらの作品は一般的には「イメージをぶち壊す黒歴史」と言われるでしょう。新作劇場版も耳に入る評判は上々。
 一般的に定まったイメージを持つキャラクターゆえの楽しみであるし、一方で「一般的に定まったイメージ」を超えて様々な面を持つのでいろんなタイプのアプローチを許す懐の深さがある。ので、個人的には「みんなが楽しめる娯楽作」と並行して、視聴率気にしないで実験的な挑戦もやって欲しいなあ、と願ったりしております。