映画の日に 一

雨にも負けず、珍しく映画の日に映画鑑賞。まず独りで『マン・オブ・スティール』。そして妻と『風立ちぬ』。
 それぞれ別個に感想を。(どちらもネタバレ要素含む危険性大)

『マン・オブ・スティール』
 旧映画シリーズの『スーパーマン』と2006年の『スーパーマン/リターンズ』については依然感想を書いたと思います。
スーパーマン 1・2について
http://d.hatena.ne.jp/sa10kazu/20060809
スーパーマン/リターンズ
http://d.hatena.ne.jp/sa10kazu/20060820
スーパーマン2 ふたつのバージョン
http://d.hatena.ne.jp/sa10kazu/20120811
 この一連の映画に愛着があるので、『マン・オブ・スティール』初期の「あまりに雰囲気の違う」予告映像を見たときは、ちょっと乗れなかった。でもだんだんと興味がわいてきて、実際に観ると大変おもしろかったです。
 「バットマン」の新シリーズが嫌いな人は本作も嫌いだと思います。評論家の柳下さんが書かれていることに尽きますが(「映画秘宝10月号」)、「象徴」であるアメコミのヒーローにリアリティや「アイデンティティを求める苦悩」など必要ない。という考えはもっともであり、だからこそクリストファー・リーブ主演の旧シリーズに与するものであるという気持ちは、全くその通りだとも思います。
 しかし何でも新しい試みが好きなタチなので、全く別物としてこちらもものすごく楽しんでしまいました。説得力があるし、何よりよくできてる。構成も、映像も、人物造形も。現実世界にスーパーマンが居たらどうなるか、そこを徹底的に突き詰めています(胸のSマークにまでちゃんと根拠が!)。当然能天気ではいられない。悩むに決まっている。自分は何者か? 居場所はあるのか? 生きている値打ちは? その悩みが普遍的共感を得る(=作品を評価する)一方で、ヒーローものでそんな現実のうだうだを見たくないと受け止める向きもある(=作品を評価しない)。でもクラークの本質がとことん善人なので、芯のところで従前のヒーロー像からブレることはないと思うんですよね。
 ただ最後のゾット将軍に対する処遇だけはさすがに「スーパーマン」というキャラクターにとってはかなりショッキングなものであり、ここに踏み込んでしまった以上、(シリーズ化するようですから)以降の作品でそこはちゃんと引きずって欲しいなと思いました。
 役者、いいですね。主演はもちろんですが、ケビン・コスナーダイアン・レインが! このお二人、本作以降また新たな役柄に恵まれていくんじゃないでしょうか?