すぐ忘れがちになる

 某政党のキャッチコピーに「安定は希望」とあった。言わんとするところはわかる。が、ここは自戒の言として、「安定は慢心の種子」としておきたい。
 過日ある接客業の方のお仕事が、随分とぞんざいに感じられた。僕は初めて拝見した方だが、その世界では大物の方のはず。もうここに来ることはないかな、と思った。ご本人にそんな意識は露ほどもなかったと思うのだけど。
 他日ある講演で、元接客業の方のお話を伺った。テーマは「おもてなしの心」。この方、どうすれば自分の店が儲かるか、と考えていない。どうすればお客が喜ぶのか。どうすれば街全体が賑わうのか。と考えておられる。そのためには、完全に素人の分野だろうが何だろうが、全力で勉強されている。これこそ学ぶべき姿勢だと思った。
 自分自身は職場では中堅であり、向いていまいが「○○長」などという役職も充てられている。そんな日々の中で、同僚に対しても生徒に対しても、「できている」つもりになっていないか。慣れもある。ある程度の経験もある。でも、こういう時が危ないのではないか。この夏、ハタとそんなことを考えるきっかけを与えて貰えたのは運が良かった。しっかりしないと。