鳥だ、飛行機だ

 『ザ・ダークナイト・ライズス』『プロメテウス』と観たい映画が目白押しです。更に今小説で『私が、生きる肌』の原作読んでで、アルモドバル版の映画もこれまた観たくなってきてて、関西ではもう公開済んだんだっけか? などと間の抜けたことを言っています。
 一方で『man of steel』の予告映像が公開されて、今頃クリストファー・リーブ版の映画シリーズも観返したくなってしまいました。
 第二作『冒険篇』にはリチャード・ドナー版が存在します。
 第一作の監督がリチャード・ドナー。その撮影時に同時進行で二作目も撮っていたそうです。途中から一作目の完成に専念し、映画は大ヒット。ところがドナー監督と出資者の折り合いが悪くなり、二作目では監督を降ろされてしまったそうです。で、周知のとおり二作目の監督は同じリチャードでもリチャード・レスター。ほぼ撮り終わってたものもほとんど取り直して編集・完成されたとか。そりゃそうですわなあ。監督が変わったら。それは以前にも観たことがありました。
 リチャード・ドナーという人は、『リーサル・ウェポン』シリーズなんかでも言われてますが、撮影現場をアットホームな親しい場にして映画を良くするタイプだそうです。スーパーマンでも、ヒロイン役のマーゴット・キダーなどはすっかりそのファミリーに親しんでしまって、ドナー監督を外したことを随分非難したそうです。そのためシリーズ第三作では最初と最後にちょろっと出るだけの扱いにされてしまった。出資者の意向で、本来二作目のクライマックス用だった場面を一作目に持って来たり、予算節約のために二作目ではマーロン・ブランドの出演シーンを使わなかったりと、だいぶ当初の構想は変革されてしまったそうです。それを後年、不完全ながら残っていた映像を繋いで可能な限り当初のイメージに近づけて公表されたというのがリチャード・ドナー版。今回、ブルーレイの『スーパーマン/モーションピクチャー・アンソロジー』というのを手に入れたので、第二作の両バージョンを見比べてみました。
 断然ドナー版がいいじゃないですか。基本的なストーリーの流れは一緒なのに、こんなに印象が違うか、と感じます。一作目の「そのテはアリなん?」という決着のつけかたも、こちらならすんなり受け入れられる。流れも自然で、たるみもない。やっぱりカネ出す人は口は出したらいかんなあ、ということですね。もちろん莫大な経費を捻出してくれる人がいるからこそ映画が作れるんですが、その人が「主役」になってしまつたらイカン。ということのお手本を見た気分です。

 次いで、シリーズの3と4を「無かったこと」にしてシリーズを再開させようとした、ブライアン・シンガー監督の『スーパーマン・リターンズ』も観ました。これ評判悪くて結局シリーズ化されず、この作品自体が無かったことにされて、今撮影中の『man of steel』に至っている訳ですが、実は僕はこの作品がかなり好きなのです。公開時にも感想書きましたが。ヒロインのロイス・レインを除いてはキャスティングもばっちりでしたし、シリーズで唯一泣けた!(病院を取り囲んで市民がじっと見守っているあたり)
 旧シリーズに敬意を表してジョン・ウイリアムスのテーマ曲をそのまま使っていたのも嬉しかったですし。新作は新しいものを目指して旧来のイメージは一掃してるようで、それはそれで楽しみなのですが、クリストファー・リーブ版があまりにイメージ完璧だったので、シンガー版はファンにとって嬉しい作品だ、と、勝手に思い込んでいました。

(映像は、新作『man of steel』の映像に、ジョン・ウイリアムスのテーマ曲をかぶせて「感じ」を出したもの)