たぶん殆ど共感を得られない、個人的な感想

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 「ルパン三世」の新作で、声優が一新される件。
 一聴、あまりの違和感のなさに「すごいな」と思いました。プロの声優さんって、こんなに似せられるんですね。けれど、そう思う一方で、それじゃ声優替える意味あるのかな、とも思いました。交代の理由は純然と「老化」の一点のようです。確かに最近のとっつぁんの声は苦しそうでした。
 きっと、だんだん少しずつ「自分らしさ」を出して行かれる作戦なのでしょうね。と思いたい。ドラえもんの時を例に出すまでもなく、「それまでのイメージ」の壁、世間の保守的反応は凄まじいですもんね。冒険はなかなかできないでしょう。そもそも現主人公がものまねから入られた方です。栗田さんの声も最初は違和感が強かったですが、随分と馴染まれたと思います。栗田ルパンを批判しようとは思いません。『くたばれノストラダムス』制作途中で山田康雄さんが急逝されて栗田さんが抜擢された時には、「なるほどその手があったか」と感心したものです。
 が、一番の本音で言うと、そこまでして(ものまねまでさせてオリジナルのイメージから離れられないなら)無理にシリーズを続ける意味があるのか、ということです。まあお陰で原作者監督版なども目にする機会は持てたのですが。
 僕自身はテレビスペシャルは『ファースト・コンタクト』以降観ていません。まったく期待感というかドキドキするものが持てなくなってしまった。面白い作品もあったのかもしれませんが。オリジナルビデオの『GREEN & RED』は観ました。ああいう試みは、シリーズに対して下した解釈を良しとするかどうかはまた別として、新しい領域に踏み込もうとする精神自体は大好きです。しかしこれは全く別枠扱いされているようです。かつて声優を一新して制作された『風魔一族の陰謀』に至っては「にせルパン」と呼ばれています。ストーリーはともかく、動きのいい作品でした。あの例があるから尚更「ヘン」な真似はできないのでしょう。
 僕は2ndテレビシリーズから入った世代です。だからあの「何でもアリ」の世界観に馴染んでいます。ただ長じて好きになったのは1stテレビシリーズと、劇場映画第一作です。だから、『ノストラダムス』を栗田さんで凌いだ後には、先祖がえりして思い切ってダークでクールなキャラクターを演じる声優さんに代わることを夢想しました。イーストウッドを当てていた山田さんのイメージです。『DEAD OR ALIVE』の予告編を観たときには一瞬その夢が実現したかと小躍りしたものです。勘違いでしたが。
 1stシリーズに携わった宮崎駿氏がルパンを「もう時代遅れのキャラクター」と感じてシリーズにとどめを刺すべく制作したのが『カリオストロの城』でした。そのあまりに強い思い入れと解釈は極めて私的なものだったのではないかと思っているので、2ndシリーズ最終回も含めて宮崎ルパンには批判的なのですが(もちろん、いち作品としての完成度の高さは突出しています。それは当然わかっているのですが)、さすがに、こうまでして作り続けて、そこに作り手は意味が見出せるのかなと思ってしまいます。
 次の新作以降、「この時代にこのキャラクターを生かす意味」を加味された、ドキドキ感のある作品が作られて行くことを期待しています。