試写会『十三人の刺客』

 役所さんも言っておられますが、これは断然スクリーンで観るべきです。ものすごい!
 確かに『七人の侍』ほど各人を掘り下げて描けているわけではないですが、むししろそういう点を最初から捨てている感じがしました。「武士とは」ということを正反対のふたつの立場からつきつめて、更に「侍嫌い」の野人を配することによって現代人にも通じる皮肉っぽい視点を持たせてます。全員ではないですが、主要な数人のキャラがしっかり立っていて、また結構な名台詞を吐くのもたまりません。中でも、稲垣吾郎が想像を超えて演じた狂気の大悪人が肝ですね。あの残虐さ、そして監督お得意のバイオレンス描写を、ぼかさず逃げずがっつり描いたことが、後半のカタルシスに繋がるだけでなく、まっとうな精神を支えることになっていると思います。暴力描写がキツいから悪趣味だとか、暴力を助長する、というのはこの映画を観た感想ではなく、アタマで考えただけのバッシングのためのバッシングになるでしょう。
 言いたいことはいっぱいありますが、とにかくこれは一見の価値あり。人を斬ったことのない幕末の侍たちの殺陣、というのも結構リアリティを感じます。まとまらんなあ。結構時間経ってるのにまだまだ興奮が残っています。
 実は、試写会会場に、役所広司さんと三池崇史監督が来たんです。オマケにこんな(写真の)刀まで配ってくれて、テンション上がりますよ! このときの様子は翌日のテレビでもやってました。妻が録画してて、スローで、僅かに写ってる我々(ウチら夫婦と妻の両親)を後で見せてくれました。