モンテローザ

 何日も前の話になりますが、実に久し振りに万年筆を新たに手にしました。モンブランモンテローザ。元町のpen and message.にて中古品を委託販売されていたもので、現行品ではないので過日の話題のように取り扱いを限定されることなく展示されていて出会いました。
 1950年代に流通していた有名なペンで、グレー軸、ペン先はEF(=極細)。極細のペンは持っていて、これは無茶苦茶細い線が書けるのですが(わざわざペンクリニックで研いで貰った)、ペン先への負荷に手が緊張するのかとても書き辛いんです。それが、このモンテローザは実に楽に、柔らかな書き味で髪の毛並みの細字が書けます。比較のために某社が出した極細字が売りのペンも書かせて貰ったのですがこれはガリガリと凄まじく引っかかってお話にならない。世の中には書いていて抵抗があった方が気持ちいいという人も中にはいるかもしれませんが、絶対少数派だと思います。
 いや〜、これはいいですね! 
 実は昔まだ小説のマネゴトをしていた時分、物語の小道具としてこのモンテローザを使おうと構想していたことがありました。結局未完であり、細かい設定など忘れてしまいましたが、歳を取った男女が若い日にこのペンを色違いの軸で共有したことが最後に伏線となるようなことを考えていました。そういうことも思い出し、つい手にとってしまいましたが、これはいいペンでした。

吉宗さんの調整でなおさらなめらかに