意外と良かった

 原作のある映画については、常々「違ってる方が面白い」と言ってます。自分の育んだイメージと違っているからと言って映画化作品に喰ってかかるのはお門違いだと思ってます。だから、自分自身が原作に思いいれが強く、映画化されたのを見ると「違う!」と思ってしまいそうな作品は観ないことにしています。そう、最初っから否定するんなら観に行く方が悪い。
 その云いで、「容疑者xの献身」は最初から映画版は観るつもりはありませんでした。ドラマもあの調子でしたし。
 ところが、昨日は妻が見てるのに釣られてつい観てしまったんです。すぐ席を立つつもりにしてたんですが(なんせまだ年賀状が終わってない!)、つい引き込まれました。そして不覚にも最後に少し涙を・・・・横で見てた妻が途中で眠ってしまってくれてて助かりました。
 映画の出来がいいとまでは言いません。が、テレビドラマの構成にあまりこだわらず(内海刑事はやっぱり意味不明でしたが)極力原作に寄り添って映画らしく作ってくれたこと、そして何より、堤真一が良かった。
 堤真一は大した役者ですね。もともとこの作品の石神という人物は、堤真一では全然イメージが違うんです。しかしこの役者さんは、他の作品でもそういう使われ方が多くないですか? 一連の京極堂ものの主人公なんかもそうでしょう? でもそれをキッチリ演じてしまうんですね。今回の作品でも、すごくよく感じが出ていると思いました。それに「この人の幸せだけが望みであり、そのために自分が罪を着ることは喜びでさえある」と本気で思っている。と思わせられる。だからこそ最後で泣ける。
 やっぱりこれ観て良かったと思った方は是非原作も読んで欲しいとは思いますが。

 ところで劇中、湯川が石神の家を訪れた際に持ち込んだボトルはボウモアでしたね。現行の12年? あれ福山雅治のアイデアでしょうか? モルト好きらしいし。原作ではどうなってたか、忘れた。