生誕100年 太宰のみに非ず

 今年ももう僅かになりましたが、太宰治の生誕100年ということで随分いろんな企画がありました。僕も久し振りに「人間失格」その他幾つかの短編を再読してみたり。でも幾つも作られた太宰関連映画は結局一本もまだ観ていません。興味はあるのだけど。
 同じく生誕100年ということで松本清張も話題になっていました。過日観た「ゼロの焦点」もこれを記念して制作されたもの。ただ、実は同い年生誕100年を迎えた著名人はこの他にも結構たくさんいるのです。
 何より我が中島敦。同じ作家で大岡昇平。映画評論家淀川長治。写真家土門拳。そして夭折の映画監督山中貞雄も。
 過日BSで山中貞雄の特集をしていて、その中で「丹下左膳余話 百萬両の壺」を観ました。丹下左膳映画を初めて観たのですが、いっきに丹下左膳に興味が湧いてきました。ただこの作品は丹下左膳ものとしては異色のものだそうで、原作者の家族が見て余りにイメージが違うとクレームがつき、原作者の名を入れることができずタイトルにも「余話」の一語を入れることを余儀なくされたとか。しかし作品としてはものすごく良かったです。時代劇ながら家族喜劇のテイストが強く、全く無駄のない見事な作品でした。
 丹下左膳本来の異形の怪剣士たる作品も俄然観たくなっているのですが、古い作品はなかなか手に入らないようで。最近のものは古くからのファンの評判芳しからず、今回観た左膳を演じた大河内傳次郎の作品も手に入るものは晩年のキレを失った時期のものばかりのようです。ん〜。ま、まずは林不忘の原作から読んでみますか。山中貞雄の他の作品も観てみたいなあ。

丹下左膳余話 百萬両の壺」より。道場破りの場面の殺陣、凄まじいです。

こっちは2004年のリメイク。