「ゼロの焦点」

 映画を観れば、あの真っ赤なポスターの意味が判ります。「さあ、誰が犯人でしょう?」と言ってるんですね。
 非常に手堅く作られていると思いました。パワーがあります。中谷美紀の演技、迫力ありました。ただ、むっちゃ個人的な好みの話ですが、広末涼子ってもひとつ魅力感じられないんです。本当に個人的な話。
 昭和30年代の物語であり、時代に翻弄された人間の悲劇を描いているので、そういう点、現代の若い人になかなかピンと来ないところがあるかもしれません。清張生誕100年を記念して作られたということですが、なぜ今この作品を世に問うのか、ということについてはどんなテーマがあったのかなあ、と、ふと思いました。
 旧作映画は、監督野村芳太郎、脚本橋本忍山田洋次ということで、ずいぶんとそそられます。毎月刊行中の「週刊 松本清張」でリリースされてるようなので、観てみたいと思います。これこそ「火サス」の原点なんでしょ? ヒロインが真相を求めて旅をし、断崖絶壁で犯人の告白を聞く、という。