blood the last vampire

 もう9年も前の作品なんですね。面白かったです。
 以前一度観ているのですが、改めて高画質で観て相当に作り込んでいることが良く判りました。48分という中篇で、ストーリーとしては「謎の少女が吸血鬼をぶった斬る」と一言でこと足りるんですが、多くを語らず背景に深いものを感じさせるストイックな作品だと思いました。観る人によってはこの短さ故に物足りないと感じるかもしれませんが、むしろ背景に様々な想像を膨らまされて、そして映像的にはもの凄い濃密さですから、満足度は高いです。この「語らずに背景を感じさせる」という作りは以前書いた松本清張の「疑惑」と通じるところがあり、本作から小説、連載アニメ、ゲームと幅広く展開が成されたというのはよくわかります。それだけの懐の深さがある。
 最近公開された「ラスト・ブラッド」(原題はblood the last vampire)は、この作品の実写化だつたんですね。知らなかった。予告編では原作である本作と同様の場面もあるようで少し気になります。気になる、で留めておいた方がいいのかもしれません。
 ともあれ、改めて日本のアニメーションの質の高さを実感した作品でした。
海外版予告編

実写版作品の予告編