妻の万年筆

 今日のサザエさんで万年筆のエピソードが登場。カツオくんがお父さんから「中学に上がるときに万年筆を買ってやろう」と言われたのに「ぼくボールペンの方がいいんだけど」と返して機嫌を損ねてました。お父さん曰く「万年筆はただの筆記用具じゃない。大人になったというしるしなんだ」と。確かに、昔はそういうものだったと思います。
 妻の万年筆はパーカーの小ぶりのもので、これが中学校に上がるときに祖母からもらったものなのだそうです。僕も最初の万年筆はそうでした。そういうものなんですね。妻のその万年筆は僕と結婚してからまた使い出したもので、長いこと仕舞い込まれてたのです。最初は妻の父の万年筆を僕が洗浄して使いやすくなったと喜んでもらえたのがきっかけで、妻も引っ張り出してきてくれたのです。ところがこれがインク漏れが酷く、ナガサワで万年筆クリニックをやる度に持って行こうと思いながら都合が合わずそのままになってました。それを過日、ふたりで神戸に行った際に吉宗さんのお店pen and message.に持ち込みました。吉宗さんの見立てでは、これはもうメーカーに送らないといけない状態とのこと。料金も幾らくらいかかるかはそれ次第、と。妻は高くかかるようなら止めておきたいようでした。そこで思い切って、かねて思っていたことを言ってみました。つまり、妻にとっては贈り物という大切なペンだけれど、本人さえよければ新しいものを1本買ってあげたいのだけれど、ということ。妻はそのペンに拘る気持ちは全然ないと言うので、吉宗さんが何本かみつくろって出してくださいました。いくつか出してもらったものの中には値段としては比較的安いものから6〜7万するものまでいろいろ混じってましたが、ともかく関係なしにいろいろ試し書きさせてみました。妻の感触では書き味が一番いいのはセーラーの白い軸のもの、デザインはモンテグラッパのベージュ色のかわいいやつ。次々いろんなペンが出て来る中で、でもどうやら妻は「わざわざ新しいの買わなくても・・・・」ととまどっている感じ。遠慮してというより、それが彼女の価値観なので、吉宗さんには申し訳なかったのですがその日はそのまま失礼してきました。
 よくよく考えたら自宅には僕の万年筆が一杯あるわけで、帰ってから何本か出して妻に見せてみました。結局今はその中から選んだセーラーのナガサワ文具センター限定という白い軸の長刀研ぎペン先のものを使っています。これは当時吉宗さんから買ったもんです。妻はわりと手紙を書く方なので万年筆は使うのですね。前のパーカーのは正直ものすごく硬い書き味だったので、こいつの方が随分と使い勝手は良いと思います。
 僕としては次の結婚記念日の贈り物にいいかな、とも思ってたんですが、贈り物というのは自分のあげたいものを買うもんじゃないですからね。まあ、いつの日かそんな時も来るかもしれません。僕の一方的なこだわりですね。