だから

 大阪府が福岡にも教員採用の手を伸ばすことに、という記事。http://sankei.jp.msn.com/life/education/080405/edc0804051154003-n1.htm
 行政は、なぜ教員志望者が減少しているかをよく考えなくてはいけない。教育職だけではなく、医師など既にその傾向が深刻化しているが、早晩警察官や消防士もそうなってくることだろう。昨今の公務員叩きは一般市民の鬱憤晴らしとお上からの目を逸らさせることにはだいぶん成功してきたけれど、当然の代価としてこういうことが起こってくる。
 近畿圏で志望者の掘り起しが見込めないから他府県へ、という発想は、エネルギー資源や水産資源の乱獲と全く同じ思考回路であり、そこには教育理念のかけらもない。団塊の世代の大量退職など10年以上前から判っていた現象であり、だからこそ我々は教育委員会に直談判して計画的な新規採用増を毎年毎年要望して来たではないか。それを無視し続けて今頃になって即戦力を他県から搾取しようとは見下げ果てた場当たり行政。若き新知事が「教育日本一」と叫んでも中身は自然破壊と変わらないというお粗末さだ。
 過日テレビが自前で力のあるライターを育てるべきと書いた。創作の最前線で厳しい現状を知っているおりえから、理念はもっともながらそれは「理想の学校を作らなければ」と言うに等しいと意見をもらった。その通りだと思った。理想は理想として、それは現実からあまりにかけ離れたお題目。現実は、それを許す猶予を持たない。しかしながら、教育現場こそ、そして教員こそ常に理想を叫び続けなければならないと考えている。常に青臭い理想論を夢み続け、(一方でもちろん現実を見失ってはただの馬鹿になってしまうが)それを真顔で唱える人でありつづけなければならない。自前で力のある教員を育てられないで、何が教育日本一か。某G球団のようにでもなりたいか。某G球団は給料だけはピカいちだが。大阪はいまや全国最低レベルですが、一体何を「にんじん」にして他府県から優秀な人材を釣ってくるおつもりか。言ってることとやってることの収支もつかないことでは、更にこの地の教育行政の見通しは暗い。